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【震災と宗教】震災から4年目のいわき市ーある教会の支援活動ー

 12月14日(日)に、齋藤知明先生と福井敬の2名で、福島県いわき市のキリスト教福音派教会のグローバルミッションセンター(GMC)へ聞き取り調査を行いました。GMCへの訪問は2011年8月に「震災と宗教」研究会が立ち上がった当初から行なっており、今回で10回目となります。

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グローバルミッションセンター

 

 今回の訪問では、GMC牧師の森章さんからお話を聞きました。2012年7月に森さんはNPO法人「グローバルミッションジャパン」(GMJ)を立ち上げ、現在もいわき市内を中心に仮設住宅・公営住宅への訪問や支援活動などを行なっています。そこで今回はGMJの今年に入ってからの動きと、今後の展望についてお聞きしました。以下では簡単に今回のインタビュー内容の報告をします。

 今年に入ってからGMJでは6人の常駐スタッフが活動を続けており、最も力を入れている支援活動は仮設住宅・公営住宅に住んでいる方への精神的ケアだそうです。活動当初は食料などの物資支援などを中心に行なってきましたが、現在は太極拳スクールなどのイベントを通じて少しでも精神的不安を取り除くことに努めているとのことでした。そして森さんは、「こうした活動は地域の人びとのニーズ、要望や問題を発見し、それに応えていくことが重要だ」と語ってくれました。

 また今後もこれまで行なってきた農業支援や仮設住宅への訪問を継続し、人と人との「つながり」をつくり「地域活性化」や「まちづくり」を視野に入れたコミュニティの再編を行なっていきたいとのことです。

 今回、私は森さんから初めてお話を伺いました。インタビューのなかで「震災後、『つながり』が重視されていくようになったが、現在再び無縁化が起こってきている」という森さんの言葉が、非常に印象的でした。震災から3年以上経った現在、街は徐々に活気づいてきましたが、反面、人間関係が再び希薄化してきている現状は、今後のさらなる復興を考えていく上で重要だと思いました。建物など目に見える復興はもちろん大切ですが、人びとの心の支援や人との繋がりを視野に入れた復興活動が今後も必要であると今回の訪問で改めて感じました。

 

 

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GMCの活動を報告しているニュースレター

 なお、GMCの震災直後からの支援活動についての詳細な報告は、本学会刊行『宗教学年報』第29輯(2014年)所収、齋藤知明「あるキリスト教会の支援活動ー「心のケア」を超えてー」に掲載されています。

(文責:福井敬)

(この記事は、大正大学宗教学会のホームページの内容を掲載しております)

大正大学宗教学会HP http://www.taisho-shukyogakkai.net/

(大正大学宗教学会「震災と宗教」研究会の調査は、大正大学学内研究助成金ならびに科学研究費補助金による成果の一部である)

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