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宗教学専攻

大正大学宗教学会2014年度秋期大会が行われました

  2月16日(月)、本学5号館3階532教室にて大正大学宗教学会2014年度秋期大会が開催されました。大会には約35名が参加しました。今回は、本学非常勤講師の星野壮先生(本研究室OB)の研究発表に続き、東京大学大学院総合文化研究科助教の松島公望先生による発表が行われました。

 星野先生の発表「カトリック教会と在日ブラジル人」では、星野先生が執筆中の博士論文をもとにして、在日ブラジル人を支援するカトリック教会の司牧者たちは、今までどのような活動を行ってきたのか、そしてその活動にはどのような問題があったのか、『カトリック新聞』などの資料整理や教会、司牧者への調査をもとに発表されました。結果として司牧の局面において、小教区から教区レベルではさまざまな経験が共有され、それに応じた対策が練られるようにはなってきていますが、全国レベルでは、まだ十全にはなされていない現状が明らかになりました。

 

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発表される星野壮先生

 

 また、松島先生の発表「「プロテスタント・キリスト教に関わる日本人の宗教性発達に関する心理学的研究―ホーリネス系教会を対象にして―」では、松島先生が東京学芸大学に提出された博士論文を基に、宗教性発達の実証的研究をどのように行ったのか、方法論やモデル構成、そしてそれらの検討の結果が発表されました。

 松島先生は、日本では、心理学的な手法に即した「宗教性」に関する実証研究は、ほぼ実践例がなく、「宗教性」の発達的観点を検討する必要性があると述べ、まず日本人クリスチャンの「宗教性」発達モデルを、ライフヒストリー法から構成しました。次に、「宗教性」に関する尺度を、「宗教意識尺度」、「宗教知識テスト」、「宗教行動尺度」の3つのテストから開発し、成人版尺度と中高生版尺度の両方を作成、「宗教性」の構造の把握を量的調査から行いました。そして、これらの質的、量的調査の両方から、「宗教性」発達と年齢段階には関連があり、特に「高次の回心体験」してからどの程度の期間が経っているか、その時間の経過が「宗教性」の各局面に関連が見られる可能性を示唆しました。

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「宗教性」発達モデルについて熱く発表されている松島先生

 

 そして松島先生は、この「宗教性」発達モデルの構成を礎として、宗教性発達研究(実証的宗教心理学的研究)の持つ可能性を更に模索していきたい、とこれからの研究の発展についても話して下さいました。このような発表に対して、フロアを含めた質疑応答では、発達モデルのあり方や調査法について、白熱した議論が展開されました。その後、松島先生や星野先生を囲み、発表に関する質問や議論、今後の宗教学のあり方、はたまた大学院の授業について様々な話をしながら懇親会が行われ、閉会となりました。

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多くの方が来場されました

 

 発表された星野先生、松島先生ありがとうございました。松島先生におかれましては、来年度大学院の授業も担当されます。今後ともよろしく御指導の程、お願い致します。

(文責・魚尾和瑛)

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