HTML5 Webook
9/24
中村さんのお店ではお客様の反応はいかがですか?中村:私が勤めている書店は、端っこに位置する本屋なので一般論は通用しませんが、逆に即効性を排除した本を主に扱うようにして、そこに価値を見出すようにしています。本は出会うもの、カッコイイもの尾形:この先、書店と出版社のあり方についてはどう思いますか?中村:少なからず、自然淘汰はあると考えています。けれども、良きものには残ってほしいという想いはありますね。情報はスマートフォンなど電子媒体で入手するけれども、お気に入りの物語は書籍で持っていたい、というような。尾形:我々も情報があふれることは歓迎なんです。多くの情報の中から、本当に興味がある情報については専門書なりを手元においてほしい。本を手に取るタイミングが増えることを願っています。 その点では幅広いジャンルを俯瞰できる書店は、本と出合うかけがえのない場所です。背表紙のタイトルを見て、何かを感じてページをめくる。この瞬間はネット通販では味わえません。中村: たとえば、憧れの先輩が読んでいる本を書店で探してみるとか、カッコイイから読む、みたいなスタンスでも出会えると思いますよ。 私の場合はジャック・ケルアックという小説家が憧れで、代表作の「On the road」をいつか読んでみたいというのが本に対する原動力でした。面白かったかどうかよりも、分厚い本を読んだという達成感を得られるだけでも良いと思います。尾形: 社会に出ると仕事で読まされる本も多いので、時間のある学生時代こそ、好きな作品や作家さんを見つけられるチャンスなんですよね。「好きな本は?」と聞かれたらすぐに答えられる一冊を見つけてほしいと思います。中村: 大学に入った時点で自分の人生が見えている方は、ほとんどいませんからね。良い友人と良い本に出会うことを目標にしてほしいです。ある作家の受け売りですが、自分に合う一冊の本と、外から自分を評価してくれる友人が人生を照らしてくれるはずです。Locate InformationInfoブックストア兼ギャラリー、スノウショベリング。本、物、人との偶然の出会いを楽しむスペース、自称出会い系本屋。158-0081東京都世田谷区深沢4-35-7 2F OPEN 13:00~19:00CLOSED 水曜日SNOW SHOVELING BOOKS & GALLERYFEATURE PAGE08FEATURE 02
元のページ
../index.html#9