学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

文化財・考古学コース

「ゼミ合宿」の報告-群馬県・新潟県方面-

 塚田良道ゼミと御堂島正ゼミでは9月1日~3日にかけて合同で「ゼミ合宿」を行いました。参加者はゼミで考古学を学ぶ3年生です。目的地は、群馬県みどり市岩宿博物館、新潟県長岡市立科学博物館、同馬高縄文館、新潟県立歴史博物館、新潟県埋蔵文化財センター(新潟県埋蔵文化財調査事業団)、古津八幡山遺跡(弥生の丘展示館)です。

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馬高・三十稲場遺跡で記念撮影

 
第1日目
 岩宿博物館を訪れました。岩宿博物館は、日本列島で初めて発見された旧石器時代の遺跡である岩宿遺跡の隣接地にあり、岩宿遺跡の出土品をはじめ、旧石器時代に関する展示が行われています。ここでは、学芸員の方の案内で展示や遺跡を見学した後、体験学習として「石槍作り」と「槍投げ・弓矢体験」を行いました。

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岩宿博物館での石槍づくり

石槍作りは、黒曜岩というガラスのように鋭い割れ口のできる岩石を用いて、鹿の角で少しずつ打ち割りながら作っていきます。皆、初めての体験でしたが、学芸員とボランティアの丁寧な指導のお陰でなんとか石槍に仕上ることができました。その後、屋外で、旧石器時代や縄文時代を想定した「槍投げ」と「弓矢」の試射体験もしました。これも初めて体験する学生が多く、遠くに飛ばすことはなかなかできませんでした。「もっとやりたい」の声もありましたが、残念ながら、時間の関係で館の方々にあいさつして別れ、長岡に向かいました。

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「槍投げ」・「弓矢」体験
                                       
第2日目
 長岡市内の博物館等を見学しました。長岡市立科学博物館は、人文系・自然系の両方をもつ総合博物館です。この博物館は新潟県内の登録博物館第1号で、昨年4月に現在地に移転、リニューアルしたそうです。


長岡市立科学博物館での見学の様子

 一番広い展示室では、市内の代表的地形の模型に合わせて、両壁に自然系と人文系の展示がされています。とくに、縄文時代草創期の重要遺跡で、重要文化財に指定されている小瀬ヶ沢洞窟・室谷洞窟出土品も展示されており、館長さんから詳しい説明を受けることができました。
 馬高縄文館は、国史跡馬高・三十稲場遺跡のガイダンス施設で、有名な「火焔土器」などが展示されています。学芸員の方の説明を受け、縄文土器の見事な造詣に学生たちも圧倒されていました。

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馬高縄文館で火焔土器に注目する学生たち

 そこから徒歩圏にある新潟県立歴史博物館では、新潟県の歴史や雪とくらしなどの展示がありますが、縄文時代の展示が半分近くを占めています。特に縄文時代の四季の暮らしを再現した実物大のジオラマは、土器や石器だけからは得られない、当時の暮らしぶりを実感できました。学生たちからは、模型の細部もよくできており「とても楽しい」という声が聞かれました。
 
第3日目
 新潟市に移動し、埋蔵文化財センター等を見学させていただきました。新潟県埋蔵文化財センターは、新潟県埋蔵文化財調査事業団が管理・運営している施設で、県内の発掘調査や埋蔵文化財の普及活用事業などを行っています。事業団の調査員の方から、作業等を行っている施設内の案内と事業内容等の説明をしていただきました。新潟県では木製品の保存処理を自前で行っているとのことで、大型の含侵装置など処理の様子を知ることができました。当日は、たまたま小学校の施設見学・火起こし体験を行っているところで、実際の普及事業を知る機会にもなりました。

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新潟県埋蔵文化財センターでの見学の様子

 隣接する国史跡古津八幡山遺跡は、弥生時代の大規模な高地性環濠集落で、本年4月に史跡公園としてオープンしました。麓にはガイダンス施設の「弥生の丘展示館」があります。かなりの斜面を登った丘陵の上に遺跡はあり、復元住居や環濠などが整備されています。丘の先端には県内最大という古墳時代初期の円墳があり、そこからの眺望もすばらしいものでした。
 
 3日間のゼミ合宿は、盛りだくさんで時間が足りなくなることもありましたが、各施設では職員の方々に丁寧に説明していただき、楽しく充実した合宿となりました。今回学んだ知識や経験を今後の学習や来年の卒論にも活かしていって欲しいと思います。各施設の皆様、大変ありがとうございました。
                                                                       (記:歴史学科教授 御堂島 正)

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