学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

文化財・考古学コース

卒業生の活躍② ―埼玉県毛呂山町立歴史民俗資料館 主任 有山佳孝さん―

 前回の吉田さんに引き続き今回も、文化財関係のお仕事で活躍している先輩を紹介します。今回は埼玉県にある毛呂山町立歴史民俗資料館で働いている有山佳孝さんにお話しをうかがいます!

 

 有山佳孝さんは2002年に大正大学文学部歴史学科に入学しその後、同大学院修士課程を修了し、現在の職に就かれています。それでは、有山さんお願いいたします。

 

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 私は、2002年に大正大学に入学しました。入学した当初は、具体的に「何を学びたいのか」、自分でも決めかねていましたが、大学の授業で仏教美術に出会いました。その授業では、飛鳥時代から鎌倉時代の仏像をスライドで見る機会があり、各時代の仏像にはそれぞれ特徴があることがわかりました。そして、人々が仏像に求めた美とは何なのか、それは時代や地域によってどのように変化していったのか、とても興味がわきました。このことをきっかけに仏像を研究するようになりました。

 古代・中世の仏像をはじめとする宗教に関わる彫刻を、さまざまな視点からよく観察することによって、彫刻を通して文字史料には書かれていない歴史の1コマを知ることができることに魅力を感じ、現在も研究を続けています。

 

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 仏教美術に出会ってからは、授業のほかにも積極的に寺院や博物館へ足を運び、実物の仏像や資料を観察したり、文化財の調査に参加し、たくさんの知識や経験を得ることを意識して勉強に取り組みました。

 文化財の調査では、主として京都府にある醍醐寺、また、全国各地にある仏像の学術調査に参加して、貴重な仏像を間近で目にし、取り扱う機会に恵まれました。とくに印象に残っているのは、自治体の文化財保護業務に関連した、東京都檜原村にある五社神社木造諸像の調査と目黒区五百羅漢寺にある木造五百羅漢像の調査です。作品と向き合うことで、新しい発見に出会い、多くのことを学びました。文化財保護行政に関わる調査を経験できたことが、文化財を守ることについて考えるきっかけとなり、今の自分自身に大きく役立っていると感じています。

 

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 現在は、埼玉県にある毛呂山町立歴史民俗資料館に勤務し、大きく2つの業務に従事しています。

 

 

 


毛呂山町立歴史民俗資料館

 

 

 1つ目は学芸業務です。常設展にくわえて、企画展や小学生向けの体験学習、講座の運営を行なっています。企画展の展示では、専門的な内容を生徒たちにわかりやすく伝えるには、どうしたらいいか、いつも頭を悩ませています。

 2つ目は文化財保護業務です。有形民俗文化財、無形民俗文化財などの調査、町指定文化財への新規指定に関する業務にたずさわっています。文化財保護とは、文字通り文化財を守る仕事ですが、有形文化財ではモノの所有者、無形民俗文化財では民俗文化財の保持団体というように、人と人との関わりが大きいことを実感しています。そのため、所有者、保持団体などの方々とコミュニケーションを図り、よりよい関係を築くことを意識して、業務に取り組んでいます。

 

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文化庁選定、歴史の道100選に選ばれた毛呂山町の古道鎌倉街道上道

文化財の保護はモノだけではありません。そのため、さまざまな知識が必要です。


 専門的に学んできたこと以外にも、有形・無形文化財に関わらず、様々な文化財を取り扱います。わからないことだらけで、業務に精通するため研鑽の毎日です。

 今にして思えば、学生の時に考古学、文献史学、民俗学などについても、積極的に学んでおけばよかったと思っています。学生のみなさんには、授業での学びだけでなく、積極的に自分から動き、モノを見て、体験し、多くの知識、経験を積んでいってほしいというのがわたしからのメッセージです。

 歴史や文化財への関わり方は、1つだけではありません。真剣に向き合うことで、さまざまな可能性に出会えると思います。多くの時間を「学ぶ」ことに使える環境は、今しかありません。学べる環境に感謝して、貴重な時間を十分に生かして下さい。

 

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 有山さん、ありがとうございました!

 大学の授業を受けていくなかで、自分の興味を持ったことに真剣に取り組んでいくと、本当にやりたいことは何か明確になることがわかりました。調査などの専門的なことは大学でないと、なかなか体験できないですよね。

 
 2回にわたって文化財・考古学を専攻した先輩方にお話を伺いました。吉田さんや有山さんのように専門的な知識や経験を活かして働いている先輩がいると心強いですね!

 また、一般企業でも目的を持って働いている先輩がたくさんいます。文化財・考古学を学んで身につけた「モノを読み解き、分析する力」はどの社会にも大切な力です。

 

 次回のオープンキャンパスは6月19日(土)です!仏教美術史の副島弘道先生、加島勝先生、考古学の塚田良道先生の模擬授業が体験できます。また、コース相談も受けつけています。

 仏教美術史、考古学に興味のある方はぜひ、そしてない方も、どうぞお越しください!一度、大学に来てわたしたちのコースの雰囲気を体験してください!

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