学部・大学院

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文化財・考古学コース

塚田ゼミ・九州合宿レポート(前編)

 塚田先生ゼミの九州合宿が2019年12月20日~22日の3日間行われました。1日目を前編、2日目3日目を後編に分けてご紹介していきます。

 考古学を専攻する塚田ゼミでは、6人のゼミ生が古墳の成立、装飾大刀、終末期古墳、奈良時代の祭祀、山岳信仰遺跡、戦国城郭といった多彩な研究にとりくんでいます。そこで各自のテーマに関する文化財を見学するため、2019年12月20~22日の二泊三日間、はるばる九州の福岡県へ飛行機で出かけ、ゼミ合宿をおこないました。ここにゼミ生の研究成果を報告するとともに、糸島市教育委員会文化課長岡部裕俊氏をはじめ、お世話になった九州の皆様に感謝いたします。(教授・塚田良道)


福岡県糸島市の弥生王墓
 初日の午後、福岡空港に到着して、まず赴いたのが平原遺跡である。糸島市教育委員会の岡部裕俊さんたちが待っていてくれ、私たちを案内してくれた。
 福岡県糸島市にあるこの平原遺跡は、『魏志倭人伝』の伊都国の王墓であると考えられている。副葬品に大量の銅鏡があり、直径40cmを超えるほどの大型銅鏡も出土している。武器がほとんど出土しておらず、アクセサリーが多く見つかっていることから、この墓は当時の女王の墓ではないかと考えられている。奈良県の纏向遺跡より以前の墓で、前方後円墳に似た形の墳丘墓の形をとっており、中国の遺物ばかりが出土していることからも相当の権威を持った人物の墓であることがうかがえる。
 また、日向峠と関連した太陽神信仰も考察されており、天照大御神となにか繋がりがあるかもしれない、という。さらに雷山という雨と水の神の山とも関連も見られ、太陽神信仰とあわせて農耕とのつながりも見られ、現在の天皇家の信仰にもつながるともみられている。私が最初にこの遺跡を見たときには思わなかったようなロマンがこの遺跡に詰まっており、軽く話を聞いただけでもとても面白い遺跡だと思った。(森田)

  
         岡部さんのご案内で伊都国の遺跡をめぐる

伊都国歴史博物館と山岳信仰
 今回のゼミ合宿で私が一番印象に残ったのは初日の夕方に行った伊都国歴史博物館である。
 ここは『魏志倭人伝』に記載されている伊都国に関する文献や出土品を展示、保存しているところである。中でも最も力を入れているのは、国史跡平原遺跡にて出土し、国宝に指定された銅鏡や鉄剣などの展示である。これらの出土状況を再現した実物大のレプリカがあり、再現度の高さと保存の仕方に感銘を受けた。さらに私が一番興味深いと思った展示は、福岡県と佐賀県の国境の脊振山系の山岳信仰の展示である。ここでは脊振山系の稜線上の現地調査の結果をまとめており、私自身の卒業論文のテーマの一つである山岳信仰についてさらに深く研究できた。(花房) 

 後編は2日目からご紹介いたします。

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