学部・大学院FACULTY TAISHO
文化財・考古学コース
東京国立博物館での見学会を行いました
5月22日(水)、暦の上で小満をすぎたものの盛夏を感じさせる新緑がまだまだ伸びてくるこの頃、文化財・考古学コースの若葉こと一年生の東京国立博物館(以下、東博)総合文化展見学会を行いました。
大正大学は東博が設けているキャンパスメンバーズに加入しており、学生証を携帯するだけでいつでも無料で入館することが可能で、1年生にとっては初めてのメンバーズ使用だったかもしれません。ですが特別展等は別利用扱いとなりますのでご注意を!
(快晴の中、見学会がはじまりました)
東博は敷地面積が広く、入り口正面の本館、その右には東洋館、一番奥へ進めば平成館と、そのほかにも分野ごとに分かれており、どの館をとっても大正大学の学舎より大きい建物が並んでいます。
今回は3人の先生にそれぞれ学生が分かれ班を作り、国を代表する博物館で改めて“博物館”という施設の利用方法、マナーを学びまた文化財・考古学コースの教員が同行することによってさらに踏み込んで展示方法などを観察していきます。
(景観を崩さず地面に矢印が!訪問したときには探してみてください)
[冨井先生班]
(平成館と冨井先生班)
冨井先生の班は、最初に平成館(考古学系の常設展が設置されています)に向かい、道中で東博が設立されるに至った経緯や時代背景を説明しながら入館しました。
壺形の土器がどうして展示台とは別の台座の上に展示されているのか、展示する側の視点で説明され、また銅鐸を実際にならすことのできる体験型展示のコーナーでは、「当初は鳴らすことを目的としていたが、この型式になる頃は鳴らすよりも見せることが大事だった」など、当時の生活文化の視点でも解説をされました。
学生からは当時の漁や、鯨・イルカの捕獲についての質問や、どうして展示品に直に赤い文字が書かれているのかなど積極的な質問があり、発掘調査現場の情報も交え答えていました。
(平成館の考古常設展へ) (左側2番目、銅鐸の説明をされる冨井先生)
[塚田先生班]
最初に本館の常設展示を巡り、刀剣や陶磁器などを見学しました。
「いずれ自分自身で理解できるようになるから」と授業以外でも博物館を見学するよう勧められていました。
本館からつながる通路を利用して平成館へ移動し、新入生たちに続けて考古資料の解説に移りました。
(埴輪について、全方位展示の見方を解説される塚田先生)
人の身長より少し小さめの埴輪について、学生たちに男女どちらに見えるのか、質問をなげかけたところ、「裾広がりの衣装で女性に見える」、「耳飾りがあるから女性?」などの意見があがりました。
正解は女性です。埴輪の形状に着目して、全方向から観察すると、髪型や乳房などにも特徴があり、男女の埴輪の見分け方について注目ポイントを指摘されていました。
(発掘された火熨斗について解説中) (火熨斗は昔のアイロン)
「フライパン?」、「鍋?」と見方があがった青銅器は、現代ではアイロンの役割をする火熨斗(ひのし)でした。中国、もしくは朝鮮半島からの渡来品で、持ち主は女性と考えられることなど、海外の古墳の出土品とも比較して説明されていました。
[大島先生班]
大島先生班は、大半の学生が学芸員課程を履修していたため、まずは東博における各館のコンセプトや、位置づけについての解説から始まりました。
(作戦会議中の大島先生班) (本館前にて大島先生班)
東洋館の展示スペースは螺旋構造になっていて、上の階から下の階までゆるやかに連続している面白いつくりです。かと思えば、お目当ての展示物に直ちにアクセスすることもできる利用者に優しい構造になっています。利用者のさまざまな希望に応えたいという博物館で働く人たちの気持ちが伝わってきます。
続いて、四幅対の水墨山水図である文伯仁筆「四万山水図軸」を観察しました。「描かれている季節は?」、「これ何時頃?」の質問に、もう一度モノクロの世界をじっくりとのぞきます。すると、春雨の降る竹林、雪が静かに降る山道であることが見えてきて、白黒の世界がたちどころに色づきます。学生たちは、その見え方の変化に衝撃を覚えていました。きっと頭の中にはカラフルな絵が浮かびあがっていることでしょう。
(法隆寺宝物館の正面)
その後、法隆寺宝物館へ向かいました。法隆寺宝物館の前には池があり、ほかの建物とは異なる雰囲気を持っています。
独特の展示方法を堪能してから、大島先生より学生に法隆寺献納宝物の金銅仏から自分が「なぜか気になる1点」を探し出してと課題が出されました。
学生たちが思い思いに観賞する中、大島先生に課題の核をうかがうと一言、「『気になる』、という気持ちがどういった『理由』で生まれているのかを掴むことが大事」と話されました。
自分自身の「なぜか気になる」を探しに、実際に訪れるのはいかかでしょうか?
参加した学生からは「広くて時間が足りなさすぎた」「(自由時間になってから)先生が見つけられなかった」「また来ます」など、広大な博物館見学に慣れていないギャップをうけていましたが前向きな印象が見受けられました。
(特別展時のみに入れる表慶館)
文化財・考古学コースにおいても実物を自分の目で見て、肌で感じ取ることはとても重要となってきます。
冒頭に紹介したキャンパスメンバーズのシステムは他にも「国立科学博物館」「江戸東京たてもの園」「東京都写真美術館」などに加入しており、東博同様に優待で入館することができます。詳細は続くURLを確認してください。
また「チラシミュージアム」といった全国1500以上の美術館や博物館、ギャラリー、アートイベントのチラシを閲覧できる無料アプリも開発されており、AppStore、GooglePlayどちらからもダウンロード可能です!
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都内には歩けば博物館/美術館あたると謳われるほど数多く設立されています。ぜひ大学内外に見聞を大きく広げ、自身の研究や興味の探求に生かしてほしいと思います。