学部・大学院FACULTY TAISHO
文化財・考古学コース
熱海・箱根・三島・鎌倉をめぐる―大島ゼミ合宿報告【前編】
大島ゼミでは、2月18日から20日にかけて3日間のゼミ合宿を行いました。
今回のテーマは「東国の寺社めぐり」。旅は、熱海のMOA美術館で尾形光琳筆「紅白梅図屏風」という国宝作品の鑑賞からはじまりました。
2日目は、人気のない早朝の芦ノ湖に浮かぶ鳥居を堪能し、箱根峠を越えてかんなみ仏の里美術館をほとんど貸し切り見学した後、三嶋大社へ。最終日は、鎌倉の二つのお寺をまわった後、鎌倉国宝館で締めくくりとなりました。
毎日朝から夜まで盛りだくさんの内容でしたが、全員、恐ろしいほどの集中力でモノを観察していました。自らの足でモノがある場所を歩き回った経験は、卒業研究の糧になることでしょう。
参加した学生がまとめた各地のレポートは次のとおりです。
まずはMOA美術館から
私たちのゼミ合宿は静岡県熱海市にあるMOA美術館から始まりました。小高い丘の広大な土地に建てられた美術館は、壁のレリーフや扉1つ取っても贅の尽くされたものであることが分かります。美術館としては珍しく「能楽堂」を備えていたり、豊臣秀吉の「黄金の茶室」が再現されていたりもしました。また、創設者である岡田茂吉のコレクションも多数展示されていました。
中でも目を引いたのは国宝「紅白梅図屏風」です。「この作品がどんな作品か読み取る」というお題が先生から
出されていたこともありましたが、尾形光琳のダイナミックな表現に圧倒され、見入ってしまうほどでした。
他にも南蛮の作品や現代美術の作品を展示するなど、設備や作品から美術館全体で多彩な文化を感じることができる場所でした。
(髙花茂慎)
(MOA美術館 外観) (尾形光琳作「紅白梅図屏風」を観察)
(能楽堂)
朝一番の箱根神社
2日目は、朝7時50分に小田原駅を出発し、約30分のバス移動を経て箱根神社に到着しました。早朝のため空気が冷たく、寒さに震えながら境内を歩きました。箱根神社の撮影スポットとして有名な「平和の鳥居」では、朝日の光、青い空、そして鳥居とのコントラストがとても美しく、周囲には人も少なかったため、鳥居を背景に全員で写真を撮りました。
その後、宝物殿を見学しました。この日は終日、神奈川県立歴史博物館・学芸員の神野祐太さんの講義を受けながらの見学でした。
宝物殿に所蔵されている「万巻上人坐像」を中心に、仏像や神像の観察時に重要なポイントや、調書を取る際の注意点などを教えていただきました。図版だけでは捉えきれない彫刻の特色や、衣服の特徴などをしっかりと見ることができ、研究を進める上で実物を直接見ることの重要性を改めて実感しました。(眞田藍美)
箱根峠を越えて かんなみ仏の里へ
私たちは箱根神社を後にして、かんなみ仏の里へ向かいました。その道中には箱根峠があり、道の駅「箱根峠」で少し早めの
昼食休憩を取りました。うどんやそばなどいろいろなメニューがあり私は山菜うどんとデザートにキャラメルソフトを食べました。
お土産屋さんもあり皆、道の駅を堪能していました。当日は快晴で道の駅から箱根山や芦ノ湖などが一望でき最高の景色でした。
休憩を終えるとバスは国道1号を函南方面へ、くねくねとした峠道を越えると目の前には大きな富士山が見えてきます、
とてもきれいでもう一度見に行きたいくらいです。
かんなみ仏の里に着くと、思っていたよりも暗い展示室に、ライトアップされた存在感のある仏像たちが展示されていました。
スタッフの方から「手持ちのライトで展示されている仏像を照らしてもいいですよ」とお声がけいただき、
玉眼や陰になって見づらい場所も確認することができました。
印象的だったのは、一体一体の形状が全く異なり、動きを感じさせる十二神将立像がずらっと並べられていたことです。
同時に私はこの十二神将像の前で、文化財を見る難しさにも直面しました。合宿の課題として、私はこの仏像の解説を任されていたのですが、古い情報と研究を経ての最新の情報をきちんと選別せず、特に制作年代については大きく更新されていました。文化財や歴史を扱う際に気を付けなくてはいけない点です。
文化財に限らず、ものを調べる時はその情報が最新のものなのかを注意しなければなりません。
かんなみ仏の里ではメインの阿弥陀如来両脇侍像や薬師如来坐像、十二神将立像に注目し他の作品はあまり見ることができなかったため、もう一度他の見学場所も含めて訪れたいです。(小宮悠馬)
(道の駅箱根峠からの景色)
三嶋大社で国宝「一遍聖絵」の世界を
2日目の最後に訪れたのは、三嶋大社です。国宝絵巻の「一遍聖絵」にも登場する有名な神社です。
鳥居の外で学生による解説が終わった後、「一遍聖絵」に描かれている三嶋大社場面を印刷した資料を片手に、
実際に境内を見て回りました。描かれている場面と現在の境内を比較し、描かれた部分がどこに当たるのかを、
全員で探しまわりました。
間違い探しのように「あそこか、ここか」と話しながら照らし合わせていくのはとても面白かったです。
絵の中の風景と現実の風景が一致する「まさにここだ!」と思われる場所を見つけたときの感動は、合宿が終わった今でも覚えています。そうして境内を回った結果、絵巻の景観が実景にかなり近いことがわかりました。
正直私は、絵巻に描かれている景色は何百年も前のものなのだから、現存している部分はほとんどないだろうと思っていたので、
この結果は予想外でした。今回の経験から、実際に自分の目で確かめることは大事なのだと改めて実感しました。(本多一葉)
(三嶋大社の境内へ) (「一遍聖絵」に描かれた場所を探す)
(拝殿にお参り)
後編に続く!
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