学部・大学院FACULTY TAISHO
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文化財・考古学コース
熱海・箱根・三島・鎌倉をめぐる―大島ゼミ合宿報告【後編】
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3日目は鎌倉の長谷寺から
鎌倉駅から江ノ電に乗車し、鎌倉の長谷寺に向かいました。入口を入ると日本庭園が広がっており、長谷寺の本堂は日本庭園を進んで山の中腹に位置しています。この時期は、ちょうど梅が見頃で、赤や白の花を咲かせていました。長谷寺の本尊は、左手に独特の形状のステッキ、錫杖(しゃくじょう)を所持している特殊な十一面観音像です。像高は9mと非常に大きく、拝する者を圧倒するオーラを持っていました。お像を見て解説を行い、不足している情報を先生に補って頂きました。特に、頭上の十一個の変化面の様子について議論が白熱しました。(中川竣介)

(梅が見頃の長谷寺)
十王信仰の寺・円応寺
長谷寺から江ノ電とバスを乗り継ぎ、十王信仰の寺である円応寺に到着。まずは、お堂の前で円応寺についての解説を聴いてから、お堂に入りました。堂内は正面の壁、左右の壁に沿って、堂内を一周するように仏像が安置されており、本尊の閻魔王像、その他の十王像、円応寺を開山した知覚禅師像、奪衣婆像、地蔵菩薩像という十二軀の仏像がありました。
十王信仰は仏教の死後の世界に関わる信仰です。死者の生前の罪を裁く十人の王が十王で、初七日に秦広王、二七日に初江王…というように十段階の審判が行われます。その様相を堂内の仏像の配列で表現しており、円応寺そのものが十王信仰を伝える十王堂としての役割を担っています。中心となる十王像は、九軀がここに、初江王像と俱生神像はこの後訪ねた鎌倉国宝館に寄託されおり、閻魔王像の頭部、初江王像、俱生神像が鎌倉時代の制作であると考えられています。私は、十王信仰に関わる絵画作品「十王図」を卒業研究のテーマとしているので、どのように共通点や相違点があるのかということに着目しながら観察しました。また、平日にもかかわらず、私たち以外にも多くの参拝客や観光客がおり、鎌倉に根づいた十王信仰の意義を実感することもできました。(小林あすか)

旅の締めくくりは鎌倉国宝館
最終日、私たちが今回の旅行の締めくくりに選んだのは鎌倉国宝館です。
鎌倉駅から歩いて国宝館へ向かいました。鎌倉国宝館は鶴岡八幡宮の境内にあり、関東大震災をきっかけに鎌倉の文化財を守る施設が必要であると考えられ、1928年に開館した歴史のある博物館です。建長寺の木造千手観音菩薩像、寿福寺の木造地蔵菩薩立像、浄智寺の木造韋駄天像、円応寺の初江王坐像、俱生神坐像を中心に見学しました。これらの彫刻作品は、それぞれ主題の異なるお像でしたが、今までの授業や今回のゼミ合宿で学んだ、仏像を見る手順や着目するポイント等の知識を総動員し、より深く観察することができたと感じます。一連の旅程の中で、私たちは多くの作品とそれにまつわる歴史について、現地に立ちながら確認していきました。学生が主体となって、事前に作品一点一点について調べ、現地で解説を行い、その上でさらに調査が必要な点やより深い考察のポイントを実物の作品から探る、ということを繰り返しました。(千田燈生)

(鎌倉国宝館とゼミの学生たち)
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