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国際文化コース

カルスタ漫画・アニメ・ゲーム研究会「トワイライト」の活動報告⑨

カルチュラルスタディーズコースの有志による研究会「トワイライト」が意欲的に活動に取り組んでいます。さっそく活動報告が届きました。

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 こんにちは、トワイライトメンバーのMAです。今年度もトワイライト活動を始めました。今年は金曜日の4限と5限の2限分の時間をトワイライトに当てています。4限に用事があれば5限から、5限に授業があれば4限まで参加している学生もちらほらいます。時間の都合のいい時に気軽に参加できるトワイライトであればいいなと思っています。 

 

 では、今回私が報告するのは『イヴの時間』です。『イヴの時間』は今年度のトワイライトの第一回めに見ました。4月頃に、囲碁の棋士イ・セドル氏とアルファ碁の勝負が話題になったことを受けて、アンドロイド(人工知能)と人間の関係を描いている『イヴの時間』を今見るのが面白いのではないかと思い視聴しました。

 詳細な説明はしませんが、『イヴの時間』はロボットが実用化された時代で、主人公のリクオ(人間)がロボットと人間を区別しない喫茶店のようなお店「イヴの時間」に訪れたことから始まる物語です。この作品は「ロボット(アンドロイド)と人間の関係の在り方」や、そこから転じて「ロボットとは何か?」「人間とは何か?」を考えさせられるものでした。

 作品世界では人型ロボットのアンドロイドがかなり普及しているようで、『イヴの時間』で登場する一目で機械であることがわかる旧型のロボットとは違い、アンドロイドは見た目が人間と変わりません。アンドロイドがそれとわかるのは、アンドロイドの頭の上に浮かび上がるリング(電子的な何か)があるからです。「イヴの時間」という店では、そのリングが表示されません。アンドロイドも人間も誰がアンドロイドなのかわからないようになっています。視聴者も初めはアンドロイドが誰なのかわかりません。

 一番人間のように振る舞っていたキャラクターがアンドロイドだったとわかったときには、トワイライトメンバーが一様に「え、どうゆうこと!?」となりました。視聴後の意見の多くは「アンドロイドが人間らしく、人間がロボットのような振る舞いをしていた」という意見でした。アンドロイドは劇中で、はしゃぎ、悩み、痴話げんかしたりしてとても人間らしい姿をしていました。反対に人間はロボットに優しくする人間はまともではないという風潮が社会に存在していて、人の目を気にしてロボットを思いやらないさまは、リクオの内面の葛藤は人間らしくもありますが、それを殺して行動する姿は機械仕掛けのように見えました。

 作品世界では、アンドロイドがさまざま分野で使われていることが示唆されています。農業であったり、教育であったり、リクオにはピアノを上手に弾けるロボットが現れたことで、得意だったピアノをやめた過去があります。アンドロイドはプログラムさえ組み込まれていれば、人間の行動の大半を行うことができるのでしょう。ロボットと人間の違いは何でしょうか。ロボットはプログラム道理にしか動けず、人間は感情を持って悩みながら生きることでしょうか。なら、ロボットが感情を持ったら人間と呼べるのでしょうか。少なくとも、人間より優れた知能を持つロボットが感情を持ったら、人間の優位性は崩れるのではないでしょうか。囲碁の人間と人工知能との勝負は人工知能の31敗でした。人工知能がこれから先も開発が進んでいき、いつか『イヴの時間』のような時代がやってきたら、その後は何が起こりえるのでしょうか。『イヴの時間』は人間が積極的に人工知能との付き合い方を考えなければいけないという問題提起を与える作品だと考えられます。 

 

 以上で今回の報告を終わります。

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報告、ありがとうございます。
いっしょに議論に参加してみたい、と思う方がいたら、ぜひ、金曜日の4時間目、5時間目に2号館6階にいらしてください。新しい人が加わって、さまざまな意見が交わされることをメンバーも希望しています。ただし、映像を一生懸命に分析していたり、議論に夢中になっていたり、「至れり尽くせり」の歓待とはいかないかもしれません。報告の冒頭にもありますが、気軽さが信条、すっと入ってきて、議論の輪に加われば、それで自然に仲間、そのような研究会です。

                                             ♪伊藤淑子

 

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