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鴨台会報・ホームページ連載企画「My Way -私の歩んできた道-」・・・2014年度第6回(最終回) 伊藤 淑子先生 『学生と共に学ぶ楽しさ』が掲載されました

鴨台会報NO.96のホームページ連載企画 伊藤先生第6回

「My Way -私の歩んできた道-」

(文学部 伊藤 淑子 教授)

 

今回は続編 第6回(最終回)

『学生と共に学ぶ楽しさ』です。

 

 新しいテーマに挑戦し続けている先生。自ら勉強を欠かさない一方、学生から教えられることも多いとか。対等な関係の中で、学生が生き生きと学べる授業をめざしています。

 

 

●学生と一緒につくっていく授業

 

 学部・学科の変遷に伴い、アメリカ文学・文化から現代の文化全般へ、授業の対象が広がっていることを前回お話ししました。学生たちの興味を引きそうな題材を探りながら、あるいは学生に関心のあることを教えてもらいながら、私も現代文化を勉強しています。

 アニメの『エヴァンゲリオン』『まどか☆マギカ』もきっかけは学生にもらいました。同窓生の皆さんはご存知ですか。ある意味で私も背伸びをして、学生たちの関心の高い題材を勉強しています。

 私にできることは、学生が娯楽だと思っているものを学問的分析の対象にする方法を示すこと。「そういう視点で見たことはなかった」「これからは漫画やアニメを楽しむとき、どのような分析が可能か、自分でも考えてみたい」というコメントを授業後にもらうと、とても嬉しくなります。批評理論は漫画にもアニメにも、映画にも応用できます。

 学生からは人気のある作品の情報をもらい、私は批評の方法を提示するという関係を築いて、互いの知識のバックグラウンドを活用しながら議論をすることを目指しています。。うわべだけで批評の用語を使うと、ともすれば議論からの逃げにもなるのですが、どのような人に対しても説得力のある柔軟な表現力と豊かな語彙力、そして明晰な論理力を学生には培ってほしいと願っています。授業が知性の「筋トレ」になることが理想であり、目標です。大学でこそ、学生と教師の対等な関係が構築できると思っています。まだまだ理想通りにはいきませんが、もっともっと学生の力を引き出すことができるようになりたいと思っています。

 

伊藤先生第6回

 

●漫画もアニメも何でも挑戦

 

 学生の興味のあるものにふれて、私も夢中になることもあります。『カードキャプターさくら』は私の研究室に全巻揃っています。付箋がいっぱいついている状態で、学生にはあきれられてしまいますが、基本的に漫画の「文法」に慣れていないので、慎重に読まざるを得ないのです。漫画には漫画のリテラシーが必要だと痛感します。でも苦労して読むといいこともあって、学生が気づかないことに気づく楽しさもあります。

 

●人文学科で身につけてほしいこと

 

 学生が興味を持てないものを取り上げてそっぽを向かれるより、「面白い」と食いついて、一緒に議論してくれたほうがいい。論じる力をつけて、文章力をつけて、論文やレポートが自在に書けるようになること、人文系の学科にきた学生に私がしてあげられることはこれにつきると思っています。

 音大に行ったら楽器演奏ができるようになる、美大なら絵が描けるようになる、それでもすべての人が音楽家や画家になるわけでもない。人文学科の人がすべて論文を書くことを職業とする、つまり研究の道に進むことはないかもしれないけれど、やはりここで学んだ証しはしっかり身に着けてほしいし、文化研究に邁進するなかで得た自信は、どのような道に進んでも、あらゆることの基礎になると思うのです。

 

●これからの抱負

 

 これまで『家族の肖像』(2004年/大正大学出版会)、『アメリカ文学にみる女性改革者たち』(共著/彩流社/2010年)などを執筆してきました。2013年11月には『19世紀の女性』(マーガレット・フラー著/新水社)の翻訳を終え出版しました。女性像は時代と共に変わっています。また授業のなかで論じたことをもとに『ファンタジー ―空想の比較文化』(2014年/新水社)を上梓したばかりです。

自分自身の能力にも限界があって、思うようにはいかないことばかりですが、大正大学で学生たちと語り合い、新しい文化の刺激を受けながら、研究や教育に励むことができるのはとても嬉しいことです。反面教師にしかならないかもしれませんが、能力的にも時間的にも限られた資産のなかで悪戦苦闘する私の姿を見て、発奮する学生がいたら、こんなに幸せなことはありません。部分的にでも、女性として一つのロールモデルを示せるようになることを、人生の目標にして、もっともっと努力をしていきたいと思います。

 

 

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ゼミ学生(平成24年度卒業)と共に

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