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ラーニングコモンズのブログ

ディスカッション入門 ゲスト:二木幸生氏

みなさんこんにちは!コンシェルジュの岩下です。

11/21(木)は、西洋哲学の松野智章先生によるラーニングコモンズレファレンス~授業の合間に受けるプチ・レクチャー~が開催されました。

今回の開催に際しては、事前にこのような予告を行っていました→「ラーニングコモンズレファレンス(西洋哲学):シークレットゲスト参加決定のお知らせ」 /wp/wp-content/uploads/learning_commons/2013/11/20-095349.html

そのシークレットゲストとは・・・・・・グランディング株式会社 取締役の二木幸生氏です!

二木氏といえば、「パンツァードラグーン」シリーズや「ファントムダスト」などのタイトルを手掛けたゲームクリエーターです。

もともと、この日二木氏は星川啓慈先生の授業で「戦争とゲーム」という講演をするために大正大学を訪れてくださっていました。
※星川先生の授業の様子はこちらの「比較文化専攻」ブログで紹介されています→/education/grad_school/e-8/blog/2013/12/01-000000.html

また、偶然ですが二木氏と松野先生は20年来のお知り合いなのだとか。このようにいろいろなご縁が繋がり、今回のラーニングコモンズレファレンスに二木氏をお迎えすることができました。新作の「クリムゾンドラゴン」が北米で発売される直前のお忙しいところ、本当にありがとうございます!

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▲中央が二木氏です。

まずは二木氏から「ゲームとは何か」を解説していただきました。

二木氏によると、面白いゲームとは以下の三点の要素を備えているそうです。

  • ルールがシンプルで分かりやすい
  • 説明がなくても世界観が理解できる
  • ユーザーモチベーションを維持できる

このことを踏まえた上で、今回のテーマであるディスカッションに移ります。

ディスカッションテーマは「トランプゲーム『七並べ』をベースにして新しいゲームを考える」です。

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▲ディスカッションには松野先生、二木氏も参加しました。

まずは参加者全員で「七並べ」というゲームのルールを整理します。この時、二木氏から言い渡されたのは「ネガティブな意見は禁止」「思ったことは何でも口にする」ということだけ。とにかく、思いついたことをどんどん声に出し、ホワイトボードに書き出していきます。

その結果、「七並べ」というゲームは以下のようなルールを持つことが分かりました。

  • ゲームの目的
    • 自分の持ち札をゼロにすること
  • プレイヤーができること
    • カードを場に出すこと
    • 隣り合った数字のカードを場に置けること
    • 3回まで「パス」ができること
  • プレイヤーの障害
    • 隣り合ったカードを持たない場合はカードを場に置けないこと
  • 「七並べ」における戦略
    • パスを意図的に行って敵の邪魔をすること
    • 場に出せるカードをコントロールして場を支配すること
  • その他のルール
    • 最初は7を並べること
    • 誰かがジョーカーを出すと、該当のカードを持っている人はカードを場に出さなければならないこと

次に、持ち札や場を何に見立てるのか(=世界観)を考えます。

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▲ディスカッション中!

「持ち札を減らす・・・・・・減らしたいものといえば借金じゃないかな」
「犯罪の証拠もそうだ」
「持っていたくないものといえば爆弾も」
「いやいや、持ち札を『減らさなきゃいけないもの』と考えるのではなくて、場に出たカードを『増えると嬉しいもの』に見立てることもできるんじゃないか。たとえば、自分の田んぼが広がっていくのは嬉しいよね」
「子どもやお金も増えると嬉しいね」
「場を横ではなくて縦にすれば、建築現場とみなすこともできないかな?『7』を境に地上と地下が広がっていくと思うと面白い」

あれこれ意見を出し合ううちに、持ち札と場のどちらに焦点を当てるのかによって、世界観を正の要素と負の要素に切り分けられることが分かりました。世界観の設定は、「プレイヤーにどんな目的意識を持たせるのか」というこの先のステップにも繋がる大事な要素です。

しかし、「持ち札をゼロにする」というルールと「場に置けるのは隣り合った数字のカードである」というルールの両方を満たしつつ、説得力のある世界観を生み出すのは至難の業です。参加者たちはあれこれ意見を出し合いましたが、あちらを立てればこちらが立たず・・・・・・といった具合に上手くまとまりません。

二木氏によると、こんな時はすべてを解決できるアイディアを一人で考えるのではなく、まずは部分部分で意見を出し合うのがコツなのだそうです。ある程度意見が出そろったら、その時に改めて整合性が取れる意見を採用することができるからです。また、ディスカッションを続けるうちに「複数の問題を一気に解決できる良いアイディア」が出てくることもあるそうです。

今回はゲームを作ることが目的ではないので、残念ながら画期的なアイディアが出ないまま時間切れとなってしまいましたが、参加者たちはディスカッションのコツや楽しさを肌で感じることができたのではないでしょうか。

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▲「ディスカッションはスタートとゴールを決めておくことが大事です。
また、ゴールは抽象的にせず、具体的に設定しておくと良いです」

参加した学生からは

「哲学と宗教の捉え方を整理するのにも役立ちそう」
「スタートとゴールを決めて内容をブラッシュアップする方法は、普段のレポートを書くときにも応用できそう」

などの声が寄せられました。

参加者のみなさんには、ぜひ今後もこの技術を活かして欲しいと思います。

さて、次回のラーニングコモンズレファレンス(西洋哲学)は開始時刻が変更となります。12/5(木)13:00~15:00(延長の可能性あり)ですので、お間違いなきようお願いいたします。テーマは「交渉と決断I」。ボードゲームを通じ、感情を抑えて冷静に判断する術を学びます。

それでは、また! ヾ(*'▽'*)o

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