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【開催レポート】テーマ→「誰かに贈りたい本」で知的書評合戦ビブリオバトル

みなさんこんにちは。図書館の伊藤と申します。岩下さんに代わり、6/30(月)に開催されたビブリオバトルをレポートしたいと思います。今大会ではビブリオバトルの司会も仰せつかりました。緊張しっぱなしのデビュー戦でした・・・。

さて、今大会のテーマは「誰かに贈りたい本」。5月開催の知的書評合戦ビブリオバトルでのチャンプ本推薦者、なかがわさんからのテーマです。

参考:【開催レポート】テーマ「みどり」で知的書評合戦ビブリオバトル/wp/wp-content/uploads/learning_commons/2014/06/04-140515.html

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▲本日は飛び込み参加が2名も!全4名で戦います。

書名:プラチナデータ
著者:東野圭吾
出版社:幻冬舎

トップバッターは飛び込み参加のガメネーさんです。紹介する本は『プラチナデータ』。2013年には映画化され、大ヒットした小説です。

舞台は近未来の日本、犯罪防止を目的としたDNA法案が国会で可決し検挙率が飛躍的に上がるなか、ある殺人事件がおこり、DNA操作システムを開発した主人公がなぜか追われる身に・・・。潔白を表明するため真犯人に迫る、というストーリーだそうです。

ガメネーさん「もし自分のDNAが国に管理されているとしたら、ゾッとします。今後警察がDNA操作システムを開発・採用したら、果たして本当に良い未来になるのでしょうか。」

著者も絶賛した映画版、原作と結末が違うので見(読み)比べてみるのもおすすめだそうです。

 

書名:木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
著者:増田俊也
出版社:新潮社

続いてのバトラーは、なんとラーニングコモンズコンシェルジュのいわしたさんです!毎回ビブリオバトルの司会を務めていらっしゃいますが、今回は飛び込みで初参戦のバトラーとして登場です。

紹介する本は『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』。スポーツノンフィクションです。

「鬼の木村」とよばれた元天才柔道家の木村政彦。木村は力道山と「昭和の巌流島」と称される伝説の一戦をくりひろげます。「プロレス」として筋書が決まっていたはずのこの試合で、力道山の突然の裏切りにより、木村は無様に敗北してしまいます。約束を破った力道山を許すことができなかった木村は、力道山を殺そうと付けねらいますが、現実にはそうなりませんでした・・・なぜなのか。この問いに対し、長い歳月をかけ関係者や資料を調べつくし真実に迫った作品とのことです。

気が遠くなるような地道な作業の末に著者がたどり着いた結論に、いわしたさんも感銘を受けたそうです。この本は、著者の木村への愛が詰まったラブレターのような作品だとのことでした。

 

書名:桃尻語訳枕草子
著者:橋本治
出版社:河出書房新社

3番目に登場したのは初参戦のバトラー、りょーりょーさんです。

紹介する本は『桃尻語訳枕草子』。清少納言が著した随筆『枕草子』を「桃尻語訳」した作品とのことです。「受験勉強に嫌気がさしている諸君~」からはじまる序文でも分かるとおり、古典が大嫌いな人におすすめしたい本だそうです。「桃尻語」とは、若い女性が使うような話し言葉のことをいいます。いわば平安時代のキャリアウーマンの書いたブログと思えばおかしくない、とりょーりょさん。

元々現代文が得意教科だったりょーりょーさんですが、古典は現代文と違い、その時代に生きていないので現実味がなく親近感がわかなかったそうですが、『桃尻語訳枕草子』と出会い、清少納言の言いたいことや情景が想像できるようになったとのことです。また、現代文でも古典でも、内容の「心」は変わらないと感じたそうです。

 

書名:紙つなげ!彼らが本の紙を造っている
著者:佐々涼子
出版社:早川書房

ラスト、4番目に登場したのはサーミスケさんです。バトラーネームは初お目見えですが、ベテランバトラーの一人です。

紹介する本は『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』。製紙工場の被災から復興までを取材したノンフィクションです。多くの書店でもコーナーを作るなど、いま熱い本のひとつです。

東日本大震災で被災した日本製紙・石巻工場。『ワンピース』や『ナルト』、『永遠の0』など名だたるベストセラーに使用される紙を製造しており、「8号(出版用紙を製造する巨大マシン)が止まるときは、この国の出版が倒れる時です」とまで言われた日本有数の製紙工場です。

被災後、従業員たちは「半年で復興する」を目標に力を尽くし、無理だと言われながらも実際に半年で復興を果たしました。

ガレキの撤去からはじまった壮絶な復旧への道。サーミスケさんは、あらためて本が読めることのありがたさを感じ、深く感動したそうです。また、何か悩んだらこの本のようなノンフィクションがおすすめとのことでした。

以上4冊が今回のおすすめ本でした。

結果はどうなったかというと・・・

 

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▲恒例となった「せーの!」投票

公正なる投票の結果、チャンプ本はりょーりょーさんおすすめの『桃尻語訳枕草子』に決定しました!

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▲チャンプ本を紹介してくれた、りょーりょーさん

おめでとうございます!!

それでは、さっそくインタビューしましょう

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Q:ビブリオバトルへの参加は何回目ですか?
A:今回が初めてです。

Q:この本を選んだきっかけは?
A:高校時代、どうしても古典(と英語)が苦手で、そんな時にこの本に出会って救われたので。

Q:自分と同じように古典を食わず嫌いする人におすすめしたいと思って選びました。
しかし無類の古典好きの方が読んでも面白いと思います。

Q:今回の勝因は何だと思いますか?
A:古典嫌いが世の中にたくさんいるからだと思います。
この本を読んで、少しでも古典を好きになってくれればと嬉しいです。

Q:最後に一言どうぞ!
A:『とりあえずは、受験勉強に頭に来ていた諸氏諸嬢ならびに受験勉強に頭にきている諸君へ―』
この本の冒頭です。興味を持ったらぜひ一読を!

―――

りょーりょーさん、ありがとうございました!

古典好きも、そうでない人も、一度手にとってみてはいかがでしょうか。ちなみに、図書館にも所蔵していますよ!

さて、次回の知的書評合戦ビブリオバトルは7/16(水)に開催します。テーマは「フリー(自由)」です。春学期最後のビブリオバトルですので、興味のある人はぜひぜひご参加ください!もちろん観戦だけでも大歓迎!!ブログよりおもしろい「生」のプレゼンを聞きに来ませんか?

詳しくはT-Poのお知らせをご覧ください。

以上、開催レポートでした。

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