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綜合仏教研究所

【開催御礼】公開講座「The Distortion of a Buddha?? 」

綜合仏教研究所では、10月13日にグレゴリー・M・セートン先生(ダートマス大学 講師)をお迎えし、標記の講座を開催いたしました。

以下、横山 裕明 研究員の報告レポートです。

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 唯識派は、中観派と並ぶ大乗仏教の二大論理学派として知られているため、その思想を学ぶ上でまずは唯識派と中観派の比較に目が行きがちです。しかし、実際には唯識派の思想も一枚岩ではなく、大きく分けて有相唯識と無相唯識があります。その2つは簡単に言えば阿頼耶識を実在と捉えるのか、それとも空と捉えるのかという立場によって分かれ、しきりに論争を引き起こしました。今回は、無相唯識の立場にあって中観思想の修得も主張する学僧ラトナーカラシャーンティの専門家であるセートン先生に「仏は誤った認識を持っているのか??」と題してご講演をいただきました。

 無相唯識には「仏は衆生を惑わす様々な誤謬や物質的な作用からも離れている」という前提があります。しかしながら、これは仏陀が物理的な肉体を通して衆生を利益した事実と矛盾しています。そこで、ラトナーカラの著作『マドヤマカーランカーローパデーシャ』における議論を取り上げ、彼がこの矛盾とどう向き合っていたのかについて教えていただきました。問題となる箇所のテクストを英訳付きでお示しいただき、さらに「実体と鏡によって映し出された影像の関係」や「水晶が周囲の物質を映すことで身に纏う色彩」といった身近な例を交えてご説明いただくことで理解が捗りました。貴重なお話を賜りましたセートン先生に心より御礼申し上げます。

 

 

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ご来場いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。

綜合仏教研究所では、今後も研究の第一線で活躍されている先生方を講師としてお呼びする予定です。予約不要・参加費無料ですので、皆様ぜひ、ふるってご参加ください。

綜合仏教研究所事務局