図書館・研究所

知と情報の集約

綜合仏教研究所

【開催御礼】特別講座「経説と中世の文学・芸術」

綜合仏教研究所では、山本聡美先生と猪瀬千尋先生をお迎えし、全5回の特別講座を開催いたしました。

 以下、平間 尚子 研究生の報告レポートです。

***********************************************

今回の特別講座は、山本聡美先生(共立女子大学 教授)と猪瀬千尋先生(名古屋大学CHTセンター 研究員)をお迎えし、オムニバス形式でご講義を賜りました。 

山本先生のご講義では、法華経信仰の隆盛の背景、院政期の仏画の特徴、装飾法華経について豊富なスライドとともに解説していただき、その緻密な描写に魅了されました。仏画や装飾経典の制作意図を、その象徴となる描写から読み解く方法―イメージリーディング―を教えていただきました。『正法念処経』と『病草紙』では、両者の依拠関係を読み解きながら、平安時代の人々の病への苦悩にせまり、『千手経』と『粉河寺縁起絵巻』では、粉河寺の創建譚と本尊千手観音の功徳で長者の娘を重病から救う霊験譚の構成や、絵巻の猟師の殺生、娘の病、蓄財の場面について、その罪業観を大乗経典から読み解きました。後白河法皇の千手観音信仰と伽藍建立、そして絵巻・縁起の成立に関するご指摘は大変興味深く拝聴いたしました。

猪瀬先生のご講義では、狂言綺語観の成立背景ならびに展開について、和歌・今様・鞠・文学・手跡・儀礼に関する作品から鎌倉時代の絵巻まで、多様な具体例を教えていただきました。白居易は来世への善報を願ってこの語句を用いますが、日本では十悪のなかの綺語・妄語となる営みと仏道とをいかに結びつけるかという思想の中で用いられ、特に、鎌倉時代以降には、人々の執着心と結びついて使用されていきます。その執着のイメージとして、天狗が登場し、僧侶の我執や驕慢を天狗に見立てて描いた『七天狗絵』や『是害房絵』には、狂言綺語観の展開として魔仏一如観が描かれるというご指摘は、興味深いものでした。

山本先生・猪瀬先生の熱意溢れるご講義に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
 



 

***********************************************

ご来場いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。

綜合仏教研究所では、今後も研究の第一線で活躍されている先生方を講師としてお呼びする予定です。予約不要・参加費無料ですので、皆様ぜひ、ふるってご参加ください。

綜合仏教研究所事務局