図書館・研究所

知と情報の集約

綜合仏教研究所

【開催御礼】公開講座「ことばは世界をどう動かしたかー古代インドの「言霊」ー」

綜合仏教研究所では、2月22日(木)に、大阪大学文学研究科 准教授の堂山英次郎先生を講師にお迎えし、公開講座を開催いたしました。

 以下、平林 二郎 研究員の報告レポートです。

***********************************************

 堂山先生のご講義では,言葉を主題として,近代言語学の考え方を踏まえ,ヴェーダ文献・ブラーフマナ文献などに見られる古代インドにおける言葉の霊力(実現力)について解説していただきました.また,言葉の霊力という視座からインドの神話と日本の神話との差異とその特徴についてお教えいただきました.

 近代言語学においてシニフィアン(記号表現)とシニフェ(記号内容)の結びつきは恣意的であると考えらています.しかし,古代インドのバラモンたちの考えは異なっておりました.
 堂山先生は,『マイトラーヤニーサンヒター』(II 1,11:13,1–7)などに見られるヴァーマデーヴァとクスィターイーの戦車競争の際に讃歌を観得することで危害を加える諸力を打ち退けたという内容などを例に挙げ,古代インドのバラモンたちは発語した音声の指示物やそれが持つ意味・内容が,その通りに実在・実現するという考え方をしていたことを解説してくださいました.
 中観や唯識など仏教の思想において言葉の扱いは重要な問題となっていますが,古代インドにおいて,音声と意味の関係は必然的なものであり変化してはならないものであると考えられていたというのは興味深い内容でした.
 また,堂山先生は,『シャタパタ・ブラーフマナ』などを例に挙げ,インドにおけるブラフマンは言葉自体の霊力(実現力)であり,その霊力は,神々が介在しつつも,それを操作できるのは人間側の手に委ねられている傾向があり,一方,『古事記』などにおいて「人間の発したことばを聞き入れた神がその威力を発揮して現実に影響を与える(佐佐木隆『言霊とは何か 古代日本人の信仰を読み解く』中公新書 2013, 217)」という形がとられることから,日本では「言霊」の霊力が神々の手にあることをお教えいただきました.

 インドの神話と日本の神話を言葉の霊力という視座から比較・考察した本講義の内容は,仏教文献に記されている言葉やその内容を研究している我々研究員・研究生にとって指針とすべきものの一つとなりました.

 貴重な講演を賜りました堂山先生に厚く御礼申し上げます.



  

***********************************************

ご来場いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。

綜合仏教研究所では、今後も研究の第一線で活躍されている先生方を講師としてお呼びする予定です。予約不要・参加費無料ですので、皆様ぜひ、ふるってご参加ください。

綜合仏教研究所事務局