図書館・研究所

知と情報の集約

綜合仏教研究所

【開催御礼】公開講座「誰も知らないプラジュニャーカラグプタ-インド仏教認識論の展開-」

綜合仏教研究所では、2月25日(月)に、早稲田大学非常勤講師の三代 舞 先生を講師にお迎えし、公開講座を開催いたしました。

 以下、倉西 憲一 主任の報告レポートです。

***********************************************

インド思想史は、その論理学の発展とともにあったとされ、就中、仏教の論理学の果たした役割は大きいとされます。本講義はインド仏教認識論の展開を俯瞰しながら、その立役者の一人であるプラジュニャーカラグプタの認識論について、その特異性に焦点を当てて、お話ししてくださいました。

 講題にあるように、プラジュニャーカラグプタとその著作はそれほど知られておらず、その研究はこれまでほとんどされておりませんでした。主たる著作である『知識論荘厳』の原典は50年以上前に出版されていますが、その長さ、難解さゆえに踏み込んだ研究は近年になってようやく始まったとのことです。三代先生も所属しているプラジュニャーカラグプタ研究会がその中心存在の一つとなっています。まず、最近の研究成果について紹介していただきました。

 続いて、専門外の人間にもわかるように、インド仏教における様々な認識論的な立場、さらには仏教論理学の認識論的立場の構築背景についても、懇切丁寧に解説してくださいました。その背景には、経量部的立場から唯識的立場への段階的な発展がみられること、さらにはその唯識説にも、学僧たちによって違いがあることもお教えいただきました。特に、プラジュニャーカラグプタは、論理学の基本モデルとなっていたディグナーガやダルマキールティの説とは異なり、「徹底した差異の否定(不二智)」を根幹においた特異な認識論を展開していたことについて、ご自身を含め、研究者たちの最新の研究成果をもとに解説していただきました。

 表題の「誰も知らないプラジュニャーカラグプタ」というのは、上記した「世の人々には知られていない」という意味だけでなく、彼の思想的特徴である「何か特定の人やものを知るのではない(不二智)」に掛けた二重の意味を持たせているということで、まさにウイットに富んだ講義に参加者一同、楽しく学ばせていただきました。貴重な講義を賜りました三代先生に心より御礼申し上げます。

 

  

***********************************************

ご来場いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。

綜合仏教研究所では、今後も研究の第一線で活躍されている先生方を講師としてお呼びする予定です。予約不要・参加費無料ですので、皆様ぜひ、ふるってご参加ください。

綜合仏教研究所事務局