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綜合仏教研究所

【開催御礼】特別講座「イエ亡き時代の死者の行方」

綜合仏教研究所では、鈴木 岩弓 先生をお迎えし、全5回の特別講座を開催いたしました。

 以下、田中杏珠さん(大正大学臨床宗教師養成課程修了)の報告レポートです。

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4月から5回にわたって、「イエ亡き時代の死者の行方」と題した綜合仏教研究所の特別講座が開催された。

 継ぐ者がいないお墓の現状については、寺院関係者であれば、日常的に直面している問題意識ではあるが、本講座はそもそも「死者とは何か」というところから遡って、日本における“死に方”の変化や、「死者」に含まれる複数の概念の区別について、様々なデータや例示をもとに考察した後、そこで明らかとなった「意味ある死者」への対応について、イエ制度との関連性を踏まえながら考察することで、日本特有の、イエ制度に基づく弔いについて、より理解を深めることができた。そして、イエ制度が崩壊した現代において、イエ制度に依拠する寺檀制度と現代社会との齟齬を考察し、それに伴って現在急速に増加している永代供養墓の実情について、その変遷とともに解説してくださった。また最終講では、以上の流れを踏まえて、今後の死者の弔い方についての考察をご教授いただいた。

 先生が提示された個々の問題については、僧侶という立場上、日々直面せざるを得ないものばかりだったが、このように大きな流れの中で、多種多様な事例やデータと照らし合わせながらの考察は、新たな視点からの問題解決に役立つものと感じられた。また、寺院制度の中で日常的かつ主観的に問題と直面している私たちとは異なり、外からこのような問題に取り組む視点は、非常に客観的で冷静であるとも感じた。イエ制度が崩壊していく中で、お墓や弔い方だけではなく、寺院や僧侶の在り方も、考え直さなければならない時期に来ていると、改めて認識する有意義な講座となった。

 講師である鈴木岩弓先生は、臨床宗教師の資格制度の創生に尽力された方である。臨床宗教師は寺檀制度に基づかない新たな僧侶の活動の形を提示している。私事になるが、臨床宗教師としての活動をしていく身として、このような問題について長年研究に携わり、形にしてきた先生の講義を拝聴できたことは、とても貴重な財産となったと感じている。

 最後になったが、ご多用中のところ、遠方から5回にわたって講義を賜った鈴木先生に、心より御礼申し上げたい。 


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ご来場いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。

綜合仏教研究所では、今後も研究の第一線で活躍されている先生方を講師としてお呼びする予定です。予約不要・参加費無料ですので、皆様ぜひ、ふるってご参加ください。

綜合仏教研究所事務局