学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

臨床心理学科

新任教員 小堀彩子准教授のご紹介

 4月から大正大学心理社会学部臨床心理学科に着任した小堀彩子です。これまで私がどのような研究や臨床をしてきたかについて,著作の紹介を挟みながら説明します。

 研究については対人援助職の心の健康について長らく取り組んできました。このブログの読者は,公認心理師や臨床心理士を目指している人が多いと思いますが,それらの資格を持って働く人たちも対人援助職に含まれます。人相手の仕事は,その業務の特質上,「相手のために」という思いを持って働く人が強く,自分自身のケアが疎かになる傾向があります。私は,援助職従事者が精神的に消耗しすぎることなく,長くいきいきと働き続けるための策について考えています。こうした研究の成果の多くは一般には流通していない学会誌と呼ばれる雑誌に掲載されることが多いのですが,一部の成果は,誰でも手に入れやすい書籍という形で出版しています。

 例えば,「下山晴彦(編)(2009)よくわかる臨床心理学 改訂新版 ミネルヴァ書房」という教科書は,臨床心理学という学問の全体像を掴むのにとても手頃なのですが,この本の「援助職のライフサイクル」という項目(p.288から)は私が執筆しています。ここには対人援助職の人が陥りやすいメンタルヘルスの問題の概要が書かれています。関心のある方はぜひ読んでみてほしいと思います。

 臨床経験は圧倒的に教育現場が長く,15年ほど携わっています。定番のスクールカウンセリングのほか,教育相談センターでのスーパーバイズ,いじめの重大事案(具体的にはいじめを背景とした自殺や自殺未遂)が学校で発生した際,背景調査を実施する第三者委員などを経験してきました。

 状態が悪くなって始めて門戸を叩くこととなる病院とは異なり,誰しもが通う学校という日常の場で目にする公認心理師・臨床心理士は,多くの人にとって最も身近な心理職と思われます。実際,オープンキャンパス等で出会う高校生や御父兄からは,スクールカウンセラーの仕事を知りたい,スクールカウンセラーを目指したい,といった発言が多く聞かれます。そういう方で,もし,自分の通う学校にスクールカウンセラーがいる場合は,相談事がなくても,予約を取ってみて,実際に会って話を聞いてみるのが良いでしょう。多くのカウンセラーは進路の相談に喜んで応じてくれることと思います。あるいは本を通じて理解したいという場合,「下山晴彦・高橋美保(編)(2017)シリーズ 心理学と仕事 第8巻  臨床心理学・カウンセリング 北大路書房」をお勧めします。この書籍は,シリーズ全体を通じて,仕事の中で心理学がどのように活用されているのかを紹介しています。そして第8巻は,臨床心理学と仕事の関連が説明されており,私は第3章学校・教育領域の仕事(p.47から)を執筆しています。スクールカウンセラーの1日や,不登校支援の考え方など,学校臨床に関心のある人にとっては興味深く読める内容となっていると思います。

 以上が自己紹介となります。これらの情報が公認心理師・臨床心理士を目指している人や大正大学心理社会学部臨床心理学科に関心のある人にとって少しでも役に立てば幸いです。

 新型コロナの感染対策のため,着任してすぐにキャンパス内への立ち入りが許可制となり,私は学生の皆さんと直接会えないままオンライン授業を実施しています。授業も会議も,オンライン上での開催となり,私が経験している大正大学に関連する行事のほとんどすべては,パソコンの画面上で繰り広げられています。パソコンの中に現実があるというのはなんとも奇妙な気もしますが「私は大正大学で働いている」という感覚をきちんと持つことができており,現実感とは何から構成されるものなのだろうかと,自分の心の中を興味深く観察している最近です。とはいえ,言語と非言語(身振り手振り,めくばせなど言語以外での表現のこと)両方を使って講義内容を伝え,そしてそれへの反応がすぐに返ってくるライブ授業を早くやりたいというのも本心です。学生の皆さんと会える日が来ること,そして新型コロナが早く収束することを祈る日々です。