学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

文化財・考古学コース

【報告】薬師寺サテライトキャンパスにおける作品調査合宿

 奈良県奈良市西ノ京に位置する薬師寺は、創建が7世紀にさかのぼる古刹です。広い伽藍の中にたつ数々のお堂には、多くの仏像がまつられており、1300年以上にわたって信仰を受け続けてきました。本尊の薬師三尊像をはじめとする仏像や仏教絵画は、多くが国宝・重要文化財に指定されています。

 私たち大島ゼミは、仏教学科仏教文化遺産コースの中村ゼミと合同で、薬師寺に新しく設置されたサテライトキャンパスにて34日の合宿を行いました。お寺の宿坊に泊まり、早朝にお堂を巡ってお経をとなえ(勤行)、丸まる2日をかけて絵画作品20点を調査しました。詳細は次の通り。

 

1日目 2月9日(月)晴れ

 お昼に薬師寺で集合。前日に雪が降った影響で、東海道新幹線のダイヤが乱れ、苦労しながら奈良までたどり着きました。午後は、薬師寺の「巨大さ」を体感するために、北の端から南の端まで各お堂を巡り歩きながら、伽藍配置(どこにどのようなお堂が立っているか)を確認しました。もとはさらに寺域が広かったと聴き、過去に思いを馳せました。

 夕方には般若心経のお写経。1時間かからずに1巻を写し終えた人もいれば、2時間かけて半分も終わらない人もいました。4日間の合宿中に3巻を写し終えることが目標です。

                
               (まずは、お世話になる薬師寺の皆さまにご挨拶)

              
      (境内の北の端にある玄奘三蔵院。この合宿にとても縁の深い、玄奘さんに祈りを捧げます)

              
              (中門にて、薬師寺の山本潤さんの解説を聴きながら)


2日目 2月10日(火)晴れ

 早朝430分に起床、寒さ対策をして勤行へ。それでも寒いし、眠い。お坊様方の声に合わせてお経を読みます。金堂、東塔、西塔、東院堂、休ケ岡八幡宮、孫太郎稲荷神社、若宮社、中門、大講堂、食堂、不動堂の順に参拝していき、約1時間。その後、朝食の茶粥を食べて、再びお写経へ。

              
              


 いよいよ9時から調査実習が始まりました。「釈迦十六善神像」という掛軸の絵画20点の木箱が、調査会場に並んでいました。開き懸け、じっくりと観察して調書をとり、写真を撮影し、巻いてしまう、というのが一連の流れです。これを1点ずつ、7チームに分かれて行っていきました。今日の終了は17時。お昼や休憩を除いて約7時間、懸命にがんばったのに、まだまだ終わりません。
     
                  
            (今回の調査で一番大きな作品。縦は3m近くありました)

 写真撮影は写真家の佐々木香輔さんにお願いしました。全体図の写真の他に、絵が描かれている絹(絵絹)だけをピンポイントで狙った撮影、絵具の素材を知るための部分拡大の撮影、墨が使われている部分をよりクリアに見るための近赤外線撮影等も行いました。目での観察だけでは得られない、作品を考察するための各種データを入手していきます。
              
        (撮影した写真を見ながら、佐々木さんの講義に聴き入る。何てぜいたくな授業)


211日(水)雨

 この日も早朝5時の勤行から1日がスタート。雨が降っている中、諸堂巡拝。恒例のお写経まで行った後に、昨日の調査の続きです。

 今日は鎌倉時代の3点の「釈迦十六善神像」「玄奘三蔵十六善神像」がメイン。玄奘三蔵は、薬師寺の宗派・法相宗の祖師であり、中国のお坊さんでありながら仏教誕生の地であるインドの仏教をこそ学びたいと、はるばるインドまで旅をした人です。「釈迦十六善神像」は玄奘さんの翻訳した『大般若経』を読む法会で用いられるため、画面の中には玄奘さんの姿も描かれています。

 ミッションは、3点の作品間で「描かれているお像の配置や形はどこがどう違うのか?」「使われている絵具はどう異なるのか?」の2つ。見比べながら、自分なりの答えを見つけ出していきました。

              
              (他の「釈迦十六善神像」と見比べるために図録も活用)

 全20点の調査が終わったのは16時頃でした。その後、宝物管理ご担当の山本潤さんや宍戸香美さんの説明を聴きながら、奈良時代につくられたお経や仏像の部材について、直に触れながら学びました。

 そして特別に、閉門後の静まり返った金堂の中で、本尊薬師三尊像を間近で拝ませていただきました。……その夜は興奮して寝付けませんでした。

              
               (宍戸さんから折本装の経典の扱い方を学びます)


212日(木)晴れ

 最終日です。勤行・朝食・お写経の流れもすっかり体に馴染みました。般若心経も大きな声でとなえます。

 今日は、東塔の頂上に設置されていた水煙、東院堂の聖観音菩薩像と四天王像を見学しました。東院堂では高次喜勝師から、謎の多い聖観音像についての説明を聴きました。昨夜じっくりと拝見した金堂の薬師三尊像を思い出しながら、お顔やプロポーションを観察。四天王像は表面の色鮮やかな文様が見事。鳳凰や孔雀など、鳥獣の文様を重点的に探しました。

                                     
                        (早朝5時からの勤行)

              
                (四天王像の文様を単眼鏡でじっくりと観察)

 全ての行程が完了したのは12時でした。3年生の学生1名が代表して、薬師寺のお坊様方、職員の方々に感謝の気持ちを伝え、解散となりました。お寺での生活、作品の調査、お堂の見学など、時間を割いてとても親切に接していただきました。お世話になった皆さまに深く感謝申し上げます。



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