学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

カルチュラルスタディーズコース

『「教養」のリメーク――大学生のために』を編集して(その1)

カルチュラルスタディーズコースの核になるものの一つが「教養」です。

「教養」というと、みなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。

カルチュラルスタディーズコースでは「教養」こそが、メディアが発達し、複雑なシステムで動く現代社会において、ほんとうに役立つ「力」であると考えています。まわりに簡単に左右されるのではなく、自分自身の価値観をもち、現代社会が求めるコミュニケーション力を高めるための「教養」。

大正大学出版会から、『「教養」のリメーク――大学生のために』という本が出版されました。この本を執筆し、編集を担当されたのがカルチュラルスタディーズコースの星川啓慈教授です。

星川先生から本のねらい、編集のエピソードをうかがいました。

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  大正大学では、7月のオープンキャンパスにあわせて、『「教養」のリメーク――大学生のために』という本を出版した。山崎正和先生(劇作家・中央教育審議会前会長)と大正大学の13人の教員が、渾身の力をこめて執筆している本だ。その目的は、大正大学の学生になった諸君に「教養」をつけてもらうこと。カバーや帯の色は青春の色だね! 新書判だから、持ち運びに便利! [⇒下を参照]
 
後で、カルチュラルスタディーズ(=カルスタ)と「教養」の関係についてもふれるけど、カルスタにとってもヒントになることが、この本のいろんなところに散りばめられている。内緒だが、この本はオープンキャンパスで無料配布されている。大正大学に来たら、お土産にもらって帰ろう! ただし、なくなったらお終い。早いもの勝ちだよ。

 

「教養」というと何やら難しそうだけど、これまで、「教養は実学や専門とは違う」と考えられてきた。

薬学部にいけば、薬の調合などができるようになる。自動車学校にいけば、自動車を運転できるようになる。このように、実生活にすぐに役立つ知識を教えてくれるところも多いよね。大正大学の特色の1つとして、法学・経済学・商学のような、いわば実学系の学問を学ぶ学部・学科・コースはない。だから、大学全体として、教養教育がすごく大事なんだ。

 

また、「教養は専門の前にくるもの」という人と、「教養は専門の後にくるもの」という人がいる。しかし、僕は、専門や実学の中にどのように教養が反映されているかが重要だ、と思っている。

 

ここで、カルスタと「教養」について述べよう。大学案内のカルスタの部分では、「教養を道具として使いこなし、新しい文化を創造する人になる」とか「知識に裏打ちされた考える力がホンモノの教養」と書かれているよね。これは、僕が言いたいことと、次のように関係している。

「教養を道具として使いこなす」というのは、僕なりにいうと、「教養はいろんな形でわれわれが生きるために役立たないと意味がない」ということだ。道具は使用して初めて役立つよね。「教養」は僕らの人生において、必ず役に立つ=使えるものでなければならない。

君たちの日々の生活に、「教養」がすぐに目に見える形で役立てば、最高だ。それに越したことはない。実際に、そういう場合もけっこうあるだろう。君たちはそうした「教養」を求めているかもしれない。でも、「教養」はすぐに役立たない場合もあるかもしれないし、目に見える形で使えない場合もあるかもしれない。しかし、将来において役立つ「教養」、はっきりと目に見えるわけではないが、どこかで生きるために役立っている「教養」。そういう「教養」もあっていいんじゃないかな。

 

「教養」との関わりで大切なことは「よく考える」ことだ。考えるためには、大学案内に「知識に裏打ちされた」とあるように、もちろん知識が必要だ。しかし、種々の知識をうまく組み合わせて、その都度その都度、ベストの結論に導くのが「教養」だね。知識というのは、多ければ多いほどいい、というものでもない。多すぎる知識は、よく考えることの障害になることもある。ほどよい分量の知識を絶妙に組み合わせて物事を考える、そして、ベストの結論を出す。こういうことも「教養」と深い関係にあるんだ。

カルスタの伊藤淑子先生が、先日、次のようにおっしゃっていた――「教養こそ、これからの多様化の時代にしっかりとした足場をつくる」、「小手先のスキルよりも深い教養が大切」と。逆説的な表現だが、「教養」こそ「実学の王者」「実学の中の実学」といっていいかもしれないね…。こんなこといっても、世間の人には理解されないかな?

 

最後にもう一度、『「教養」のリメーク』の宣伝をして、今回は終わろう。「教養」については、いろんな人がいろんなことを言っている。しかし、この本は、巷に出回っている本とは一味違う。どう違うかって? 写真の帯を見てほしい!

 

次回は、具体的な編集秘話にはいろう。

 

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