学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

国際文化コース

授業点描2011秋②狼は森である?

「大学祭」は日本のカルチャーですが、それぞれにこの期間を過ごされたことと思います。実行委員として活躍した人も、サークルでパフォーマンスをした人も、あるいは訪問者として楽しんだ人もいることでしょう。おおかみ.jpg

秋学期が始まって1ヶ月半、授業のほうも熱気を帯びてきましたが、大学祭で一休憩、来週からまたいっそう充実した考察、議論を期待しています。

在学生には、これまで扱ってきた内容を振り返って、中盤以降の学びをいっそう発展させるいい機会になりましたでしょうか。

受験生の方たちは11月入試の真っ最中ですね。大正大学でも推薦入試の受け付けが始まっています。オープンキャンパスにいらしてくださった方たちが、ご自身にとってベストの受験をしてくださるように、影ながらお祈りしています。

表題にした「狼は森である?」はカルチュラルスタディーズコースの基礎ゼミで10月に議論したテーマです。「赤ずきん」はだれもが知っている昔話ですが、私たちが日本にいてヨーロッパに伝わる昔話を手軽に楽しむことが可能である背景として、ぺローとグリムの功績を看過することはできません。

ところで、ぺローとグリムの「赤ずきん」の物語が異なることはご存知でしょうか?

猟師.jpgたとえば、グリムのなかで結末に重要な役割を果たすのは猟師ですが、ペローには猟師はでてこないのです。猟師の出現と銃の普及は密接な関係があります。

授業では、この点に着目して、「猟師」「木こり」「狼」「森」をキーワードに、赤ずきんの家と森と、そしておばあさんの家の配置を考えたのです。そのことによって明らかになるのが、狼は森のメトニミー(metonymy)であるということ。森.jpg

カルチュラルスタディーズコースではいろいろな文化研究の方法をを実践しますが、昔話を分析して物語がどのような文化的、科学的、政治的、経済的文脈のなかで成立しているのかを議論することもその一つ。広い視野のなかで、一つのことをトコトン探究するという姿勢を身につけていきます。

扱う素材はアニメや漫画などの「やわらかい」ものから、星川先生のブログにあるように「かたい」ものまで、幅広いのですが、共通しているのは、意味は関係性のなかに相対的なものとしてしか存在しない、という認識です。

在校生のテーマも、アメコミの日本のおける受容、原宿ファッションと欧米ファッションのように、異文化間の影響関係を調べて分析するもの、哲学の理論を応用して映画や広告における「人間」の視覚的表象を比較考察するものまで、多岐にわたります。秋3.jpg

楽しい文化が好き、という人も、理詰めで考えるのが好き、という人も、いっしょに自分の考えを鍛えています。方向性が違うからこそ、相手に伝わることばが求められるのです。

文化の秋です。まさにカルチュラルスタディーズコースの季節ですね!秋1.jpg

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