学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

情報文化デザインコース

H29年度 WS1(編集)、印刷博物館見学

今年度も1年生の「ワークショップ Ⅰ(編集)」恒例の
印刷博物館見学が6月1日に実施されました。
印刷博物館を見学することで、「文字→本→印刷」の流れによって
現在のような文明社会が形作られたことが実感できるでしょう。
出版・編集コースの新入生が当コースで学ぶに当たって、
まずはその大切さを感じてもらうのが、この見学の目的です。
今回の見学を参加した石井さんが
この見学を情景たっぷりにレポートにまとめてくれたので、
以下に紹介したいと思います。

タイトルは「印刷の歴史をさかのぼる印刷博物館」です。
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印刷博物館は2000年開館、凸版印刷株式会社の本社にある、
印刷文化に関する展示が非常に充実した施設である。
入場するとまず目にするのは、
壁一面に100点以上ものレプリカや模型が並ぶプロローグ展示ゾーンである。
ラスコーの洞窟壁画に始まり、『解体新書』、東京オリンピックポスター、
ステレオ印刷にディスクメディア。古代から現代まで、
コミュニケーションメディアとして世界中で文明の発展に貢献してきた印刷の歩みを、
一目で体感することができる空間だ。
中央には、覗きこむと映像が見える4つの井戸も設置されている。


ガラス張りの印刷工房「印刷の家」では、
1800年代に発明されたコロンビア印刷機などの手引き印刷機を実際に目にすることができる。
インクボールやローラーの使用、木製から鉄製への変化など、印刷機の進化の過程を知る。
そして棚に収納された、気が遠くなるほどに小さな大量の活字には圧倒される。
また、アダナ印刷機と呼ばれる小型印刷機での印刷体験も可能だ。
手作業、手動の印刷は大変な肉体労働であったことなどからも印刷技術の向上を肌身で感じる。

総合展示ゾーンでは、さらに多方面から印刷の歴史に関する様々な展示がされている。
すべての資料ごとに解説映像がつけられており、
より興味深く、詳しく、印刷技術の進化や表現ツールとしての印刷の姿を理解できるブースになっている。
ここでは、プロローグゾーンではレプリカだった百万塔陀羅尼の実物を見ることができる。
印刷年代が明確な現存する世界最古の印刷物である。
仏教信仰の「数が持つ力」を託された印刷が担った役割の大きさを実感する。
加えて、時代を追った世界や日本のポスターのコレクション、
大衆娯楽としての雑誌や新聞広告を生んだ大正・昭和の出版物の展示は注目だ。
素早く目を引き情報を簡潔に広く伝達するため、
芸術性や装飾性を凝らした作品たちは現代のメディア表現の根源である。
この他にも、信仰の革新となった聖書の印刷や、
版画技術の種類についてなど見ごたえのある展示ばかりだ。

見学を通じて学ぶことができるのは、やはり印刷文化が人類の発展に与えた影響の大きさである。
印刷は古くから、祈りや信仰の布教、情報伝達、
コミュニケーションのツールとして重要な役割を果たしてきた。
デジタル時代に移り変わり、ボタン一つで印刷が可能になった今も、
変わらず私たちの生活を支えている。欠かせない存在ということだ。
印刷博物館を訪れれば、数多くの資料からその重みに気づくことだろう。
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