学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

日本文学科

【日本文学科・課外活動】博物館探訪を実施しました

大正大学日本文学科では、豊富な古典文学関連の所蔵資料を有する恵まれた環境の中で、在校生の皆さんが充実した古典の学習・研究ができるようになることを目指して、在校生や受験生を主な対象に「古典へのいざない」プロジェクトを実施しています。

今回は学内の在校生向けとして、教員の付き添いのもとで古典関連の展示を実施している博物館への探訪を実施しました。暮れも押し迫った、ということばがぴったりの12月27日(金)、2024年最後の課外活動です。今回の行き先は以下の二箇所でした。

(1)静嘉堂文庫美術館
「平安文学、いとをかし―国宝「源氏物語関屋澪標図屏風」と王朝美のあゆみ」

(2)印刷博物館
「源氏物語登場 古典の復興」

今回は『源氏物語』つながりの展示を二箇所見ることができました。後者の印刷博物館では、展示を解説いただいたほか、印刷体験にも参加させてもらうことができました。以下、学生の体験記を一部要約していくつか紹介するとともに、撮影可能な場所で撮った写真も何点か掲載します。ぜひ、学生の皆さんが得られた体験にご注目ください。

【静嘉堂文庫美術館入口】学生による撮影
 

(1)静嘉堂文庫美術館に関する体験記

・静嘉堂文庫美術館の展示物の中で特に「源氏物語古系図」が印象に残っています。「源氏物語古系図」の目録では、現在の『源氏物語』には無い巻名が存在していました。なぜ現在とは異なる巻の名称が「源氏物語古系図」に残っているのか、どの巻名が現在と異なっているのか気になり、「源氏物語古系図」の目録と私たちが知っている『源氏物語』を見比べたいと思いました。また、様々な時代の作品のくずし字を見てみて、文字の太さや書き手によるくずし字の癖の強さを感じました。ものにとっては読みやすいものもあり、個人的に『大鏡』の展示物のくずし字が見やすく読みやすかったです。(4年生)

・静嘉堂では、国宝である俵屋宗達の『源氏物語関屋澪標図屏風』は、とても大きく迫力があり、反り返るような太鼓橋や、牛車などが大きく印象的で、明石の君が乗る船など場面を想起させる描写の表現を見て取ることができました。解説も併せて読むことで、理解を深めることができました。『源氏物語』をモチーフにした『源氏物語蒔絵源氏箪笥』、現代の截金ガラスの作品など緻密かつ繊細で輝いていてとても美しく手の込んだ作品だと感じました。『栄華物語』の絵入本や『住吉物語絵巻』、『紫式部図』などその他の平安文学に関する展示も綺麗で興味深かったです。(3年生)

・静嘉堂文庫美術館では、『平安文学、いとをかし―国宝「源氏物語関屋澪標図屏風」と王朝美のあゆみ』の展示を見学しました。平安文学を中心に作品展が展示されていて、「土佐光起《紫式部図》」を見て、見たことのある作品が自分の目の前にあるという感動を覚えました。私はくずし字を勉強しているので、平安文学を代表する作品の書に書かれた文字を同じく、くずし字を学んだ友人と読み解いたりしたことが学びに繋がったと感じます。(2年生)

・源氏物語や古典文学にまつわるありとあらゆる展示がありましたが、中でも印象的だったのは俵屋宗達の『源氏物語関屋澪標図屏風』で、大きな屏風のなかに緻密に源氏物語の世界が描かれていて目を引かれてしまいました。また、『平治物語絵巻 信西巻』の巧みな場面転換には現代の漫画のコマ割りにも通じる筆運びを感じました。(1年生)

(2)印刷博物館に関する体験記

【展示解説の様子】

・印刷博物館では「駿河版銅活字」を見ることができました。これまで整版の版木は見たことがありましたが、古活字の実物を見ると、一文字ごとに字を作成する大変さがよりわかり、整版本が普及していった歴史を実感しました。展示物だけではなく展示の仕方やチラシ等にも多くの工夫があり、見どころが多く、充実した時間を過ごすことができました。(修士2年)

・印刷博物館では、企画展を見たり、活版印刷の体験もできたりしたので良かったです。初めに解説して頂いた展示では、印刷の歴史の流れを学ぶことができました。昔から情報などを記録するために、様々な物を用いる工夫や発明を経て現在に至るのだと分かりました。『源氏物語』の展示コーナーでは、貴重な古い版本を見ることができて良かったです。絵も色彩鮮やかで綺麗だと感じました。(3年生)

・「印刷博物館」では、丁寧な解説や体験をさせていただきながら印刷の歴史を辿ることができました。私は将来紙や文、そして印刷に関わる職業に就きたいと考えているのですが、今回この場所に行き印刷のあれこれに触れてその気持ちがより強くなりました。じっくり見られていない展示があるので、こちらの博物館ももう一度行ってみたいと思います。(2年生)


【印刷体験コーナー】学生による撮影

・印刷博物館では、展示解説、常設展、特別展、活版印刷体験に参加しました。博物館職員による展示解説を初めて体験して、展示品を通して学ぶことはどんな感じなのかが自分なりに掴めたと思います。常設展と特別展の『写真植字の百年』を見て、印刷技術の発展と人々の文化の発展に目を通せて、印刷物の魅力を知りました。活版印刷体験ではグリーティングカードを作成し、活版印刷機の仕組みを動かしながら理解することができ、貴重な体験ができたと思いました。(2年生)

・「印刷博物館」では印刷という観点から人類の進化を辿ることができ、入ってすぐにあるレプリカたちは圧巻でした。体験型で楽しみながら学べる展示もいくつかあり、子供でも楽しめるような工夫がされていたと思います。今回はワークショップも体験しましたが、自分で選んだ文章がとても綺麗に印字されるのは達成感を覚えました。また一階にはブックデザインの展示もあり、ユニークな表紙や内容の一つ一つに驚かされました。(1年生)


【印刷体験・組んでみた活字】

 (3)総合的な体験記

・このような企画に参加でき、楽しかったです。みんなで行くことによって、新たな気付きを得ることが出来ました。また、私は博物館に行くことは好きなものの、自分一人でとなるとつい後回しにして会期を逃すことが多々あるので大学のイベントとして行なっていただけること自体がありがたかったです。今回、いろんな学年の人と博物館に行くことが楽しかったのでこうした企画を通して縦のつながりも出来ると思いました。私はもう卒業してしまいますが、ぜひ今後も継続していって欲しいです。(4年生)

・静嘉堂文庫美術館と印刷博物館を通して、展示物のキャプションの工夫に目を惹かれました。作品や対象となる展示物を知らない方にも分かりやすい説明文だと感じ、展示物に興味を持たせるようなキャブションに美術館や博物館の工夫を感じることができました。もうすぐ卒業はしてしまいますが、卒業までにこのような企画があればまた参加したいですし、今後も継続していってほしいです。(4年生)

・普段、興味のある展示があっても、自分から足を運ぶことができないことが多かったので、よい機会となりました。会場では、これまで学んだくずし字の知識を使って読解に挑戦したり、授業で学習したことを自分の目で確認できたりと、授業の延長線上として見学することができ学びが深まりました。また、これを他の学生と会話しながら鑑賞したり、先生方や学芸員の方に直接解説いただいたりすることで、アウトプットもできました。こうした機会は自分ひとりでは得られない、大学でのイベントであるからこそ体験できる貴重な機会でした。(3年生)

【印刷体験で出来上がったグリーティングカード】


・今回、訪ねた美術館及び博物館では『源氏物語』に纏わる展示から、平安文学の展示、印刷の歴史が分かる展示などを見たり、活版印刷の体験を行ったりと、同じ学科の仲間で訪れたことで普段以上に楽しく勉強することができました。また解説を聴いてさらに学びを深めることができ良い機会になりました。(3年生)

・静嘉堂博物館、印刷博物館はどちらも今回初めて訪れた場所で、貴重な体験をすることができました。もともと博物館には機会があればよく足を運んでいましたが、こうして都心の博物館へ行くのはなかなか勇気が出ずチャレンジできなかったことだったので、学科で機会をいただけたことがきっかけでまた新たな一歩を踏み出せたような気がしました。どちらも1人ではなく他の学生と一緒に見て回ったことで、自分1人では気づけなかった展示品の特徴にも注目することができ、人と一緒に見て回ることの楽しさを改めて感じました。(3年生)

・1日に2箇所の博物館を見学して、展示方法の工夫が博物館によって異なることを学びました。展示の解説に注目することや、学芸員の方による解説を聴いて、初めて学芸員という職業について理解したように感じました。今回のように博物館を比べる機会は貴重であったため、日本文学科でまたイベントが告知されたら参加したいと思います。(1年生)

以上、学生の皆さんの体験記でした。様々な発見や学習があったようでよかったと思います。在校生の皆さんには引き続き同様の見学の機会を設けていきたいと思います。受験生の皆さんには来年以降になりますが、どうぞお楽しみに!

なお、日本文学科の「古典へのいざない」プロジェクトは2024年度大正大学学長裁量経費の補助を受けて実施しています。

大正大学文学部日本文学科では、これからも様々なイベントや取り組みを行っていく予定です。日本文学科公式SNSアカウントにおいて、情報発信をしていますので、良かったらフォローや拡散のほど、よろしくお願いします。
 
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