学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

公共政策学科

高瀨顕功先生の週末~京都の伏見で行われた学会に参加してきました

12月1日(日)、多文化間精神医学会のシンポジウム「高齢化社会の中で支援者の役割を考える」にシンポジストの一人として登壇。制度化された空間(病院、福祉施設等)での宗教者の関与の可能性と制度化されていない空間(地域社会等)での宗教者の関与の可能性(地域資源としての寺社・教会)について、これまでの研究で得られた知見をまとめて報告させていただきました。以下、備忘録がわりに刺激的な各発題者の内容をざっと紹介します。
千葉県精神科医療センターの花岡晋平先生からは、認知症を持つ方の地域移行が進められる中で、社会負担がどのように推移しているのか貨幣価値に換算した測定から、認知症患者の数や社会負担の総額は増える一方、認知症一人当たりの社会負担は減少傾向にあることを教えていただきました。それは認知症に対する認識の高まりから早期診断が増加したことや居宅や地域で生活する認知症者が増加したことなどによるといいます。しかし、今後、老々介護が限界に達した場合、家族がケアのために離職をするか、高価な介護サービスを市場で購入せざるを得ず、社会負担の総額は大きく上昇する可能性があるため、公的介護サービスと家族介護などインフォーマルケアとのバランスが重要になるとのことでした。
宇都宮医師会の在宅医療・社会支援部の村井邦彦先生は、健康を決定づける社会的要因(SDH:Social Determinants Health)の概念をご紹介いただき、社会的処方を目指した宇都宮医師会の取り組みをお話しくださいました。当事者の生活全般の環境改善のため地域資源を活用したネットワークを作るというのは、地域包括ケアでいわれる「地域づくり」と重なる部分が多いですが、これまでこういった地域づくりは社会福祉協議会や地域包括支援センターが行うものというイメージがありました。医師会が中心となって、地域のアクターを巻き込んで行われているという事例は新鮮でした。
東京大学人文社会学系准教授の井口高志先生からは家族介護の在り方が変わってきているというお話をいただきました。つまり、家族介護の担い手が、配偶者(妻)、嫁など女性中心であったものから、男性が加わるようになり、「ながら介護」とよばれるような働きながら介護するスタイルが一般的になってきたこと。また、これまで、被介護者-介護者の二者間で閉じがちな関係性を、外部のサービスを利用することで開いていくことが課題であったが、介護サービスが一般化することで、多様なアクターが被介護者を取り巻くことでかえって家族の役割が大事になってきたことなどをお話しいただきました。
社会負担から考える医療政策、地域医療と地域資源との協働、家族介護の推移とケア者のケアという超高齢社会を迎えた日本において重要なトピックを伺うことができ、大変勉強になりました。今後もこういった機会に積極的に参加したいと思います。
写真は学会会場傍の京都の伏見稲荷大社です。紅葉がとても綺麗でたくさんの観光客が押し寄せていました。

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