学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

哲学・宗教文化コース

2015年度「宗教文化研究B」石垣島・調査実習②

10月31日(土)

 この日は、ユタの方とツカサ(司)の方にお話しを伺ってきました。ユタとは、沖縄県の巫女(シャーマン)のことで、人々の私的な領域の相談事―病気平癒の祈願、禍厄の除災、家や家族に関する吉凶判断などーに応じ、霊的な観点からアドバイスを行う宗教的職能者です。一方、ツカサとは、御嶽(うたき)等の聖地において、部落や村落の公的な祭祀・祈願行事に関わる神職を指しています。
 はじめに、ユタであるKYさんにユタになったプロセスについてお話しを伺いました。Yさんは、30歳頃から原因不明の腹痛や発熱といった体調不良に悩まされていました。病院でも原因がわからず、困り果てていましたが、ふとしたことから<身体が「拝ませて」と言っているのではないか>と思い至り、ユタになることを決意しました。その後、先輩のユタに付いて修行に取り組みますが、修行(沖縄本島・宮古諸島・八重山諸島の様々な御嶽をまわる)には莫大なお金と時間がかかります。やがて、先輩ユタの言動に納得がいかないことが出てきたり、容認できないことが起こったりしたことから最終的には独り立ちし、独自で祈祷(きとう)の方法を編み出していきました。(←このような概要のお話しを聞かせていただきました。)

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 続いてツカサであるHOさんにお話しを伺いました。Oさんが守られている御嶽は、代々Oさんの一族でツカサが世襲されてきたことを教えて頂きました。また、この御嶽がつくられた経緯に関する伝承を聴かせて頂きました(琉球王国が建国される時代のお話で驚かされました)。また、ツカサが持つ香箱や神匙(かんざしのこと)といった道具を見せて頂きました。

 その後、いくつかの御嶽を案内して頂きました。御嶽を建てる場所に決まりはなく、祀る対象も神様や実在した人物など、多岐にわたっているそうです。また、ツカサは地域の祭祀にも深く関わっている役職で、Oさんのケースだけでなく、それぞれの一族が代々継承しているそうです。


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 本来、なかなかお話しを聞くこともできない方々と、直接お会いして貴重なお話を伺うことができ、また、私たちの質問にも快く答えて頂き、本当に貴重な体験ができました。とても勉強になりました。



(2日目 了)
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