学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

史学専攻

史学大学院 ゼミ紹介②

 暑い日が続いていますが、史跡をめぐり、史料・論文を読む……、研究者にとって長期休暇は集中して研究に取り組める貴重な時期です。

 7月以来、史学大学院の授業風景と、研究への取り組みについて取り上げてきました。前回予告した通り、今回は東洋史の授業風景を写真とともにお伝えしていきます。

 宮嵜洋一先生がご担当されているMD東洋史特論Aでは、中国環境史をめぐる諸問題を取り上げて、歴史研究の中で環境史が持つ意義を理解するとともに見識を深めていきます。
                                                     
        
                      【台湾の炭鉱跡の案内図】

 歴史は、今日に至るまで絶えず連続していることから、全体像を把握することは大変です。そこで、歴史学では、各時代に表れる特徴を基に歴史を区分して、体系的に捉える手法がとられています。その手法の一つとして、近年では、自然環境を視野に入れた分析が試みられています。
 また、中国では環境史の研究書がかなり出版されており、それらを研究史のどこに位置付けるのか、検討を重ねています。


 窪田新一先生のM東洋史史料論Aは、アジアにおける佛教史の史料を俯瞰し、それぞれの言語、民族の佛教受容の特徴を把握することを目的としています。

        

 一言で佛教と言っても、中国、チベット、モンゴルなど、国や地域が違えば当然特徴も異なります。それらの特徴を捉えて本質を理解するためには、漢文はもちろんのこと、できる限り原典にあたることが重要です。
 講義を通して、同時代に記された史料に厳密に批判を加え、事実に基づいて歴史を叙述する手法を身に付けます。


 小林伸二先生のMD東洋史特論Aでは、先秦時代の文献と出土資料の比較を通して、文献成書年や成立過程を考察しています。

        
                    史学専攻(歴史学科)フロアには、5万冊を超える
                     史料があります。
 

 中国古代史をめぐる研究では、文献の成立過程を考えるにあたり、漢代以降の儒学との関係から多くの議論が展開されています。そうした中で、近年は、中国から出土した文献資料の果たす役割が大きくなっています。
 文献にみられる歴史叙述は、記した人物の思想や物事の捉え方が反映されています。その思想を理解し、類例との比較・分析をすることで、歴史事実を追求することが出来ます。


 歴史研究にあたり、文書や文献の精査は必須です。内容を正確に把握することに加えて、行間を読んで、文面には表れない書き記した人物の思想を理解することも重要となります。


 次回も引き続き、授業と研究の様子をお送りしたいと思います。


 

 

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