学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

社会福祉学専攻

招聘講演 「被災住民のエンパワメント形成とコミュニティソーシャルワーク-東日本大震災における支援を通して」


 法政大学大学院人間社会研究所教授の宮城孝(みやしろ たかし)先生をお招きして、陸前高田地域再生支援研究プロジェクトによるアクションリサーチの方法と過程をご講演いただきました。


 宮城先生は、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災当時、神戸に在住・在勤しており、当時の急速な一人暮らし高齢者の増加を実態調査より把握されていました。そのため地震発生から1週間後より、要援護高齢者の支援プロジェクトを組織して、被災直後の課題を実証的に把握し対応された実績がありました。

 

 東日本大震災の被災地支援においても阪神淡路の実績をふまえ、「陸前高田地域再生支援研究プロジェクト」を組織し、現在も継続中とのことです。このプロジェクトは、宮城先生を研究代表者として2011年5月から開始され、社会福祉、都市計画、建築、公共政策、社会学、公衆衛生等の研究者や実務家との共同調査と支援活動が実施されています。そして、被災住民自身の地域再生と生活再建に向けて、主体的な取り組みとコミュニティ形成のあり方を模索し、地域再生のモデルづくりに寄与することを目的に行われています。

 被災地支援では研究者の関わりが、住民主体活動や地域コミュニティ形成に結びつくことが求められ、この学際的研究プロジェクトではアクションリサーチの方法が活用されています。住民や当事者視点に立ち、その主体形成への支援を共に考え、個人と地域をアドボケートし、エンパワメントする取り組みは、コミュニティソーシャルワーク方法論が生かされています。


 この研究プロジェクトより対象地域の地域再生はもとより、地域福祉の方法としてのコミュニティソーシャルワークの機能強化の必要性、地域福祉における生態学的アプローチの必要性、及び生活環境総体の機能不全に向き合う地域福祉の役割が実証的に把握でき、各地への適用可能性や普遍性もまた、みえてきたのではないかと思います。

 個と地域の両者に関わる地域福祉研究の視点と、そのダイナミックな方法論を先生の研究より学ばせていただく良い機会となりました。


*本文章は、当日の宮城孝先生の講演資料より引用し作成いたしました。

(文責:神山)

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