学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

社会福祉学専攻

【社会福祉学専攻教員 Episode3】(髙橋一弘先生)

 私は40代半ばで大正大学院の修士課程に入学した。その時の研究テーマは里親制度に関するものだった。児童相談所で児童福祉司として十数年勤務していた折に里親担当を経験し、里親委託や特別養子縁組等に関わる機会があったことが研究のきっかけだった。

 それから約20年、私はずっと里親制度を見つめてきた。その間制度改正が度々行われ、里親の種類や手当も増え制度は整えられてきた。現在の「社会的養育ビジョン」では、社会的養育が必要な子どもには、まず里親や特別養子縁組を優先するよう求めている。こんなことは私が里親担当だった当時は考えられないことで、隔世の感がある。

 しかし、それを手放しで喜んでばかりもいられない。中途からの養育は子どもにとっても里親にとっても容易いことではないし、傷ついた子どもたち、養育の困難さを抱えた子どもたちは増え続けている。その課題にどのように向き合い支援していったらよいのか、課題は山積である。

 里親は市民による社会養育活動である。社会が子どもの社会的養育に積極的に関心を持ち、市民がその担い手になり、それをソーシャルワーカーをはじめとする専門職がネットワークを作って支援する。そんな仕組みづくりが地域ごとに必要なのだが、それらが整っているとはとても言えない。そんな仕組みをどのように作っていったらよいのか。里親支援ソーシャルワーカーはどんな支援を行っていけばよいのだろうか。それを考えるために、里親や子どもの置かれた現状を少しでも知ろうとしてきた20年間だったように思う。

 この分野の研究と実践には、これからは若い皆さんの力が必要である。里親制度に関心を持ち、研究や支援に取り組む若者が増え、里親や里子、成人した里子たちとともに歩んでいって欲しい。そんなことを願う今日この頃である。

 

【社会福祉学専攻教員 Episode4】は松本一郎先生です。よろしくお願いします。