学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

カルチュラルスタディーズコース

ピュアな人?

野次馬的な話で申し訳ありませんが、最近話題の芸能ニュースといえば、市川海老蔵さんと小林真央さんの挙式でしょうか。豪華な結婚披露宴、セレブたちが大集合、といえば、大衆の関心は引き寄せられずにはいられません。

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ところで、私たちは毎日テレビのニュース番組や新聞記事から、世の中でどのようなことが起こっているのかを知ります。

でもあらゆる報道番組を視聴し、新聞をスミからスミまで読んでも、世界の出来事のすべて、どころか、日本、自分の住んでいる地域の出来事をすべて知ることは不可能です。何か大きな出来事があると、どのテレビチャンネルも、どの新聞も、あらゆるメディアがそこに集中するということはよくあることです。私たちは本当に自分の知りたい情報を得ているといえるかどうか、はなはだ心許なくなってしまいます。

だれかが、こういうニュースは多くの人の関心を集めるだろう、と考えて、情報を取捨選択しているわけです。でもニュースにならない出来事は毎日確実に起こり続けています。それが全部ニュースになったら、無限の時間と紙面が必要になってしまいますね。いつも私たちはだれかが編集した「世の中の出来事」のダイジェスト版を与えられているということです。

それでも私たちはテレビニュースを見て、新聞を読んで、世の中でどのようなことが進行しているのか、理解した気分になります。私たちは案外テレビや新聞を信じていて、メディアが伝える出来事=今日を生きていくために必要な情報であると普段は思っています。

情報の発信者の思惑と情報の受け手の興味関心が一致しているあいだは、情報は「透明」になると論じたのはスチュワート・ホールです。(Stuart Hall, Encoding and Decoding in the Television Discourse, 1973.)ほしい情報を、ほしいかたちで入手していると思うことができるあいだは、情報はゆがみのないストレートな透明なものであると感じられるのです。

さて、海老蔵さんと真央さんの結婚の話題にもどりますが、海老蔵さんは以前記者会見で「真央さんのどこにひかれたのですか」という質問を受けて、「ピュアで心の美しい人」というように答えていました。

これはまさに情報の透明性の見本のようなものですね。海老蔵さんが求めるものと、真央さんが発信するものがピッタリ合わさった時、海老蔵さんにとって彼女は最上級にピュアな存在です(恋愛の本質かも・・・)。

でも蓼食う虫も好き好きのことわざにある通り、人によって「ピュア」であると感じる相手は違います。たまたまある人間とある人間が出会って、相手に透明な純粋さを感じるわけで、その純粋さに普遍性はないわけです。

とはいえ、これが情報となると、幸運な利害の一致ともいっていられません。どのように情報を受け取り、どのようにそれを解釈し、どのような意味をそこに見出しているか、いつも意識していないと、報道番組の思惑通りの世界観や価値観をあたりまえのことだと思ってしまうかもしれません。

最高にピュアだと感じられる人に出会うのは人生の至福かもしれませんが、受け取る情報がいつも透明だと思えるのは、情報社会を生きる私たちには少々危険信号であるかもしれません。

情報がどのようにやり取りされているか、これもカルチュラルスタディーズのテーマです。

あ、それから恋愛をコミュニケーションの一つのかたちととらえるのも、カルチュラルスタディーズです。

ものごとの新しいとらえ方にチャレンジするカルチュラルスタディーズに取り組んでみたいという受験生の方は、ぜひ8月、9月のオープンキャンパスに足を運んで模擬授業の会場をのぞいてみてください。