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国際文化コース

『「教養」のリメーク――大学生のために』を編集して(その3)

星川啓慈教授の『「教養」のリメーク』編集こぼれ話最終回です。図1.png

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一連の作業のなかで、難しくもあり一番楽しくもあるのが、本のタイトルをつけることと、キャッチコピーを考えることだ。タイトルの付け方しだいで、本の売れ行きが大きく左右されることがある。だから、どの出版社も本のタイトルの付け方には慎重になる。

タイトルは、執筆者の13人の先生方にも相談した。しかし、最終的には、僕が決めた。今だから白状しよう。実は「〈教養〉のリメーク」というのは、ある役所関係の雑誌の特集号のテーマからヒントを得たものだ。そして、候補にあがった種々のメインタイトルとサブタイトルの組合せを何度も考え直した末に、素直な感じの『「教養」のリメーク――大学生のために』に決めた。

でも、これだと、何かインパクトがないね。そこで考え付いたのが、帯のコピー。本の表の帯のコピーは、メインタイトルとサブタイトルとは対照的に、大胆かつ簡潔に「〈教養〉とは〈気付く力〉なり!」とした。これは、一緒に仕事した司馬先生の「いろんな先生の文章を読んでいると、〈気付く力〉で括れるんじゃないかな」という、先生の「気付く力」(笑)に由来する。それと、哲学者のベーコンの「知は力なり」という言葉から、僕は、無意識のうち、影響を受けていたかもしれない。

本の裏の帯のコピーは、僕が書いた「緒言」からの抜粋。これで、やや詳しく具体的な編集方針を示した。

どうだろう? カバーの色、メインタイトルとサブタイトル、帯の2つのコピーは諸君にアッピールするだろうか? しないとしたら、失敗だ……。

 

さらに、正直にいうと、このタイトルには問題がないでもない……。「〈教養〉のリメーク」という言葉の意味はいったい何だろう?」と思う人もいるかもしれないね。事実、このタイトルの意味にはいくつかの候補がある。(1)「高校生や大学生がすでにもっている教養」のリメーク、(2)「大学の教養教育」のリメーク、(3)「社会に流布している教養観」のリメーク、(4)「人それぞれに異なった教養観」のリメークだ。ほかにもあるかもしれない。

曖昧なタイトルだといえば、たしかに、曖昧なタイトルだ。しかし、だからこそ、これを見た人に広く受け入れられる可能性もあるだろう。こうしたことも、タイトルの決定に際して考えた。実は、これらのすべての意味をこめての「〈教養〉のリメーク」なのだ!!

 

この本の出版に費やした時間は、企画の構想から始まって多くの方々との遣り取りなど、すべてを合わせて、およそ300時間。でも最終的には、紆余曲折を経ながらも、実に多くの方々のご協力で、大体において満足のいく本ができた。実に嬉しい――ご協力してくださったみなさん、本当にありがとうございました!

 

このブログと『「教養」のリメーク』が一人でも多くの人に読まれることを願いながら、筆をおくことにしよう。

3回にわたる長い文章を読んでくれて、本当にありがとう!

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