学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

国際文化コース

カルスタ漫画・アニメ・ゲーム研究会「トワイライト」の活動報告⑰

トワイライトからの新しい報告が届きました。

●●●

 トワイライトメンバーのT.Nです。今回は、2004年公開の映画作品『ULTRAMAN』を視聴しました。読んで字のごとく特撮作品「ウルトラマン」のシリーズの中の一本です。

 「ウルトラマン」はトワイライトで以前にもいくつか紹介したのですが、本作は一般的な「ウルトラマン」のイメージとは少し異なる作風の異色作です。具体的に例を挙げると、

 ・怪獣に襲われる人間の描写などの恐怖を煽る演出の数々

 ・筋肉質で生物的なウルトラマンのデザイン

 ・シリアスかつリアルなストーリー構成

などの点が挙げられます。まとめると「大人向け」という言葉が一番しっくりくるかと思います。(メンバーからもそのような評価を受けました。)

 本作でウルトラマンに変身する主人公、真木舜一は航空自衛隊のパイロットであり、病気がちな息子を持つ父親でもあります。真木は自衛隊を辞め、家族と一緒に過ごす時間を大切にすることを決意するのですが、未知の地球外生命体=ウルトラマンと一体化してしまったことにより特殊機関に目をつけられ、さらに凶悪な怪獣との戦いに巻き込まれていくことになります。この「ある日突然ウルトラマンになってしまった父親」という部分がこの作品の肝であり、面白い部分です。

 トワイライトメンバーからの疑問として出たのも、「真木の息子の存在の意味は?」「母親・女性の存在が薄いのでは?」といったものでした。これらの疑問が出てくるのは、この作品が上記の通り「父親」、それも「カッコイイ父親」を理想のヒーロー像として描こうとしているからだと思います。そして、「父の帰りを信じて待つ母」と「守られるべき対象としての子ども」がそこに加わることによって、物語においてはありきたりな「理想の家族像」が作品の中で完成しているのです。つまりこの作品は「ウルトラマン」を、ただ怪獣を倒すというだけのヒーローではなく、「理想的なカッコイイ父親」という別の視点からの存在を重ねることによって、今までとは違うヒーローとして「ウルトラマン」を描き直した作品といえるのではないでしょうか。

 個人的には「ウルトラマンって子ども番組でしょ?」という一般的な固定概念を覆す作品の内の一つだと思っています。興味を持った方は本作品と世界観を共有している『ウルトラマンネクサス』と一緒に視聴してみてはいかがでしょうか。

●●●

秋学期も中盤となりました。
トワイライトの学生たちも意欲的な活動を続けています。

今週は『野火』の映像作品を考察すると聞いています。
星川先生の授業「異文化研究の展開ⅡE」では、戦争とは何か、ということをテーマに、第二次世界大戦の意味を考えています。

この夏、国際学会に出席したときに、アメリカから来た研究者が、「アメコミにとって、第二次世界大戦は「Empty Center」(空虚な中心)である」述べていたのが印象的でした。

空虚な中心、いわばドーナツの穴です。穴がないとドーナツの形状は存在しないのに、穴を食べることはできない・・・

アニメーションでも漫画でも、登場人物たちはいつも戦っています。日常的に私たちは競争することを「~~戦争」と比喩的に表現します。

戦争って何? 私たちはどうして戦闘場面を娯楽として見ることができるのだろう? 映画が戦争を描く意味は? ヒロイズムと戦争の関係は? いろいろなことを考えながら授業を受けてきました。

難しいテーマです。でも、「みんなで考えたら、何か発見があるから」と学生たちは意欲的です。関心のある方は、ぜひ、金曜日の4時間目あたりに2号館6階にいらしてください。ほかのコースの学生さんも大歓迎、とメンバーが言っていました。

楽しい時間を共有しながら、真剣な議論が生まれています。     ♪伊藤淑子


GO TOP