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「学び」と「実践」を通じた人材育成

宗学コース

平成25年度夏期仏教研修道場(比叡山居士林道場)の報告

 8月21日から24日まで、比叡山西塔にある居士林において、三泊四日の仏教研修を行いました。この研修は、仏教を建学の精神とする大正大学に学ぶ学生が、僧侶が行う修行に実際に触れ体験するというものです。大正大学に在学する学生であれば学年学科を問わず誰でも参加することが出来、今年は学部一年生から大学院生まで22名の学生が参加しました。
 この研修では、四日間を比叡山の山中で過ごします。普段の学生生活とは大きく異なる環境に、最初学生たちは戸惑い、緊張しているようでした。

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 この研修では、法華経写経、比叡山諸堂巡拝、朝晩のお勤めなど様々な修行を行いますが、ここでは先ず、座禅止観について報告します。座禅止観は、重要文化財でもある比叡山西塔の釈迦堂で、比叡山の僧侶の指導の下行います。止観とは、足を組み体を調え呼吸を数えることに神経を集中し、自分の心の動きを観察する修行です。座禅の最中は身体を動かすことも物音をたてることも一切禁じられます。お堂はしんと静まり返り、のどが鳴る音や布のすれる音も目立ってしまいます。そのような中、30分間集中しようと一生懸命座りました。指導していただいた僧侶から「不自由に身を置くことで自由を知る事が出来る。」と教わりましたが、座禅止観を通して、集中しようとしても次々に他のことを考えてしまう心の不安定さや、普段自分たちがどれだけの音に囲まれて生活していたかを実感することが出来ました。

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 居士林道場での研修では、お勤めや座禅だけが修行ではないと教えられます。掃除や食事などの日常の動作も例外ではありません。
 食事は精進料理です。丁寧に作られた料理のおいしさに驚く学生も多かったようです。しかし、慣れない食事の作法に最初は緊張の連続でした。感謝の意をこめてお経を唱え食事を始めますが、食事中もまた、会話はもちろん、ものを食べる音、食器を置く音など一切の音をたてることが禁止されます。当然好き嫌いは出来ません。また、食べ終えた器をたくあんとお茶できれいに洗い、そのお茶を一つの器に集めて飲み干す、「洗鉢」を行います。洗鉢は、わずかな食べ残しも出さずにきれいに食べ、更に器を洗う手間も減らすための工夫です。最初は音をたて注意を受けていましたが、研修が進むにつれ徐々に慣れ、最後には無音で全てをきれいにいただくことが出来るようになりました。このような体験から、いのちをいただくことのありがたさや感謝の心を学ぶことが出来ました。

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 研修に参加した学生たちにとって、一番つらく、また一番印象に残った体験は「回峰行」であったのではないかと思います。「回峰行」とは、比叡山の峰を巡る修行で、特に千日回峰行は比叡山の荒行として知られています。
 夜中の二時に起床し、比叡山西塔の釈迦堂の前で魔事なく回峰行を終える事ができるよう本尊様に祈念して、出発します。
 真っ暗の山道を、懐中電灯の明かりだけを頼りに歩きます。比叡山の闇の暗さと霊気を感じながら、一歩一歩、歩くことだけに心が集中していきます。
 釈迦堂を出発して横川の元三大師堂をめぐり、比叡山を下って坂本の日吉大社へ。その頃にはすっかり夜も明けており、途中で朝日をおがむことも出来ました。その後、伝教大師の生誕地とされる生源寺で朝食を取り、いよいよ一番の難所である無動寺谷を登り明王堂へ向かいます。あまりの急な坂道に汗だくになりながらも、互いに励ましあい一生懸命登りました。休憩をはさみ、東塔を経て再び西塔の居士林へ戻りました。
 今回は一人も途中で脱落すること無く全員で歩き切ることが出来ました。大変ではありましたが、回峰行を終えた後の学生達には充実感にあふれた表情を見る事が出来ました。

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 以上の体験を経て、学生たちは随所で様々なことを感じ、学び、一回り成長したようでした。学生に感想を聞くと、「つらかった」「大変だった」といった声がある一方で、「達成感があって楽しかった」「また来たい」といった声も多くみられ、学生たちが身のある研修を行うことが出来たのだと実感しました。研修が終わり比叡山から降りて再び普段の生活に戻りますが、この研修での貴重な経験を活かして、より充実した日々を送れるようにしていただければと思います。

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仏教学研究科修士課程仏教学専攻天台学コース二年 眞木興遼