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国文学専攻

国文学専攻在学生・修了生インタビュー 4号

これまで大正大学大学院文学研究科国文学専攻では、在校生・修了生のインタビューを掲載してきました(第1号第2号第3号)。

今回は第4号として、博士前期課程(修士課程)修了生で、現在他大学の事務でご活躍中の中村さんにご協力いただきました。中村さん、どうぞよろしくお願いいたします。

Q.修了された課程と年度を教えてください。
A.2013年度に文学研究科国文学専攻修士課程を修了しました。

Q.大学院に入学しようと考えたきっかけは何ですか?
A.学部4年生の頃、所属していた学科の先生方から、大学院進学についてお話をうかがったことがきっかけです。

学部では表現文化学科に所属し、「自分でテーマを考え、小説を書くこと」を中心に学んでいました。そのうえで、大学院では「作者はどのように作品や登場人物を構成しているのか」、「作中における文体表現」といった視点から作品研究をしたいと考えました。

Q.ご自身の経歴や経験をふまえて、大学院で学ぶにあたって難しいことなどはありましたか?
A.学部生の頃は、作品読解などの文学研究より、実際に小説を書く創作表現に興味があったため、学部卒業時も卒業論文ではなく、卒業制作(小説)を提出しました。
本格的に文学研究に取り組んだのは大学院に入学してからで、初めのうちは授業で作品考察を述べることが苦手で、とても苦労しました。何より、先輩方の知識量や考察力に圧倒され、もっと頑張らなくては、と思うことがしばしばありました。

大学院の特殊研究科目(国文学特殊研究など)では、指導教授の先生と研究テーマを決めたり、研究方法を考えたり、研究の進捗状況を報告します。私の場合、学部時代からゼミ等でお世話になっていた小嶋知善先生が指導教授だったため、まずは「多くの文学作品を読解し、考察する」といった文学研究の基礎からご指導いただき、徐々に作品考察やレジュメ発表に慣れていくことができました。

Q.ご自身のご研究の内容や、その内容を選んだきっかけを教えてください。
A.近代作家・田村俊子が大正初期に発表した『女作者』や『木乃伊の口紅』といった作品を中心に、田村俊子が作中で描く「芸術」へのこだわりや、主人公の言動にも表れる恋愛観について研究していました。特に『女作者』では、「書けない」ことに苦悩する作家の姿がまざまざと描かれており、小説を書くことを学んでいた私にとって、研究対象として関心を持つきっかけとなった作品です。

Q.大学院で楽しかったこと、良かったことはありますか?
A.良かったことは、同期がいたことです。研究の進め方など、先輩から教わることも沢山ありましたが、研究熱心な同期に相談することが多かったです。ときには研究内容に関わらず、講義が終わった後もよく話していました。大学院に入り、文学研究を始めたばかりの私に色々とアドバイスをくれたおかげで、研究の楽しさも次第に感じられるようになりました。

Q.大学院に入る前と入った後で出来るようになったことや変わったことはありますか?
A.元々、人前で話すことが苦手だったのですが、大学院に入ってから、多少は、変わったと思います。普段の講義でのレジュメ発表や、大学院研究発表会(国文学専攻の院生・先生方の前での発表)を経験したこともありますが、私が大学院に在籍していた頃は、社会人の方も多く、さまざまな職歴・年代の方と接するうちに、意識が変わったのかもしれません。

Q.大学院生のうちに取り組んでみたり挑戦してみたりして、良かったことはありますか?
A.当時、研究室の先輩から声をかけられ、TA(ティーチングアシスタント)の学内アルバイトを経験したことです。パソコン操作中心の講義を複数担当し、教員補助として、講義中、操作が分からず困っている学生のサポート等をしていました。

ただ操作手順を教えるのでなく、「この操作を行なうと、どんなことができるか」、分かりやすく説明することを意識するようになりました。よく質問を受けていた学生から「テストがうまくいった」と報告されたり、覚えた操作を友人にも教えている姿を見かけたりなど、やりがいを感じる場面もありました。こうしたTAでの経験がきっかけで、学生支援・学習支援に関心を持ち、大学事務で働きたいと考えるようになりました。

Q.大学院で学んだことは、ご自身の今のお仕事でどのように活かされていますか?
A.現在は都内の大学(学科事務)に勤めています。学科事務の場合、学部生や院生と関わることも多いため、自身の大学・大学院での経験が話の種になることもありますし、学科の先生方とは学会等のつながりで大正大学の話題が出ることもあります。

論文やレジュメ作成で学んだ「自分の考察を述べる際、どんな言葉を使えば相手に伝わりやすいか、どんな根拠があると納得してもらいやすいか」と考える視点は、学生等からの問い合わせ対応の場面でも活かされますし、「自分が調査した研究内容を順序立ててまとめる」といった文章構成は、業務マニュアルを作成する場合など、詳細を知らない人が読んでも理解できる・分かりやすい文章を書く、といった心がけに繋がっています。

研究していた作家や作品の知識を今の仕事で直接活かすことは難しいですが、大学院在籍中の経験で得た知識、出会った人との縁はこれからも大切にしたいと思っています。


インタビューは以上です。中村さん、ありがとうございました。

創作のために文学研究を行うという視点を提示してくださった点で、ありがたいお話をいただきました。また、研究はもちろん大事ですが、大学の事務で働く、ということを考えたときの選択肢として、大学の活動や業務に精通することがかなう大学院進学、という選択肢があることがよくわかるお話だったと思います。研究上で身につくスキルが、業務上の応対や文章力にもつながるという点も大事ですね。

中村さん、この度は本当にありがとうございました。引き続きご活躍をお祈りしています。また何か機会があれば、ぜひお便りをお寄せください。

国文学専攻では、今後もこうしたインタビューを実施していきたいと考えています。また、学部学生の方でも、院生や修了生の方に聞いてみたいことがある方は、教員まで気軽にお問い合わせください。質問の項目などに付け加えたいと思います。よろしくお願いします。


大正大学大学院文学研究科国文学専攻

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