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宗教学専攻

大正大学宗教学会2012年度春期大会のお知らせ(決定報)

 時下の候、皆様におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 このたび大正大学宗教学会では、2012年度春期大会を下記の通りに開催する運びとなりました。今回は「こころのケアと宗教」をテーマとして設定し、「臨床宗教師」制度の創設に関わっていらっしゃる高橋原先生と、「スピリチュアルケア・ワーカー」制度の整備に携わられている大河内大博先生より、各々の取り組みについて発表していただきます。それを受けまして「臨床心理士」制度に携わってこられた伊藤直文先生より、ケアを行う支援者を支えるシステムなどについてコメントを頂きます(詳細は下記の「シンポジウム開催趣旨」を参照してください)。

 どうぞお誘いあわせのうえ、ご来場くださいますようお願い申しあげます。なお、会員(大正大学・宗教学専攻の卒業生)の方には往復はがきでのご案内をお送りいたします。会員であるにもかかわらずはがきがお手元に届かなかった方、もしくは会員以外の方ははご氏名、ご所属、懇親会のご参加の有無をご記入の上、下記のアドレスに6月10日までご連絡ください。

<連絡先> info★taisho-shukyogakkai.net(★を@に要変換)

【日時】
2012年6月22日(金)15:00~17:30

【場所】
大正大学2号館8階ホール

【スケジュール】
15:00~17:30 シンポジウム「こころのケアと宗教」
 ◆発表者
  高橋原(東北大学実践宗教学寄付講座准教授)
  大河内大博(上智大学グリーフケア研究所人材養成講座講師)
 ◆コメンテーター
  伊藤直文(大正大学人間学部長・臨床心理学科教授)
 ◆司会
  弓山達也(大正大学人間学部教育人間学科教授)

17:30~18:00 総会

18:00~ 懇親会(一般3,500円、学生2,500円)

 ※ご不明の点がございましたら、下記までご連絡ください。

<連絡先>  info★taisho-shukyogakkai.net(★を@に要変換)
 


                   「シンポジウム開催趣旨」
 

 近年、宗教者による「こころのケア」に注目が集まっている。2010年のNHKをはじめとする「無縁社会」報道では、孤独に苛まれる現代人に「縁」(支縁)を結ぶ者として、そして2011年の東日本大震災以降は、慰霊・追悼を通してこころの癒しの担い手として、また、まつりなどの地域行事を通してのエンパワーメントの発信者として、宗教者の役割が注目されてきた。

 社会分化・専門化の進行する中、宗教者の役割が徐々に切り縮められてきたのは必然的なことである。宗教は公共に対して私事であり、個人の内面・魂に関わることであり、さらには「追い詰められた者の溜息」(K.マルクス)とされた。しかしその内面・魂の関わりの重要性が無視することができないのは、1998年の世界保健機関(WHO)の「健康」定義の見直し議論で“spiritual”にスポットが当てられたことからもうかがえよう。そしてこの議論と相前後して、わが国において臨床パストラルケア教育研修センター(現NPO法人臨床パストラル教育研究センター)がワルデマール・キッペス神父によって九州・久留米に設立された。2002年には高野山真言宗のスピリチュアルケア・ワーカー養成講習会が発足し、2006年には高野山大学でスピリチュアルケア学科が開設された(2010年に密教学科に統合)。いずれも宗教者の持つ「こころのケア」の働きが病院や学校などの臨床現場に活用されることを想定しての教育・研究機関である。

 本年4月、死期が迫った患者や遺族への心のケアを行う宗教者の養成などを目指す「実践宗教学寄付講座」が、東北大に設置された。「仏教、神道、キリスト教などの団体の寄付を受け、3年間開講する。死に関係した宗教的な心のケアを専門的に扱う講座は国立大では初めて」と新聞報道(読売4/5)は伝える。本講座は、東日本大震災後、牧師や僧侶らが中心となって設立された「心の相談室」をもとに、やがては患者と遺族の悩みに答える「臨床宗教師」を育てるという。宗教者が担ってきた「こころのケア」は対機説法のように個別的であり、時にノンバーバルであり、制度の俎上に乗りづらい。しかしこれを「臨床宗教師」という一つの資格として考えると、プログラムの標準化や育成のマニュアル化は避けて通ることができない。宗教の実践と宗教研究の応用性がどうかみ合うかが注目されよう。

 また軌を一にして日本スピリチュアルケア学会もスピリチュアルケア専門職の資格認定制度を整備している。同学会役員の役割には医療・福祉、教育、学術と並んで「宗教」という担当区分が設けられ、宗教者・宗教研究者が一定数参加し、専門職には宗教者や信仰を有する医師・看護士の認定も予想されている。

 大正大学宗教学会では、かかる宗教界・学界の動向に鑑み、シンポジウム「こころのケアと宗教」を開催する。今回は特に上記のように「臨床宗教師」「スピリチュアルケア専門職」の制度化・資格認定について議論を進めたい(実際の臨床現場についての議論は別途予定中)。そのため東北大学実践宗教学寄付講座から高橋原先生と日本スピリチュアルケア学会から大河内大博先生よりお話をうかがうこととした。また「こころのケア」の制度化・資格認定について、わが国においては(財)日本臨床心理士資格認定協会が約四半世紀の伝統と学的蓄積を有し、同様の資格認定を考えるならば臨床心理士制度を参照することは自然なことと考えられる。同時に臨床宗教師やスピリチュアルケア専門職が臨床現場に立つ時には臨床心理士との協働は不可欠ともいえる。そのため本学臨床心理学科の伊藤直文先生にコメンテータをお願いすることとなった。

 「こころのケア」に心寄せる宗教者、宗教研究者、また当該テーマに宗教者の役割の可能性を考える実践家・研究者・活動家の方々の来場を願ってやまない。


 (この記事は、大正大学宗教学会のホームページの内容を掲載しております)
大正大学宗教学会HP http://www.taisho-shukyogakkai.net/

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