学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

宗教学専攻

【震災と宗教】研究会とシンポジウムに参加しました

 2月22日、23日にかけて、仙台で行われた「社会学系4学会エクスカーションと研究交流集会」と東北大学東北アジア研究センターシンポジウム「民俗芸能と祭礼からみた地域復興―東日本大震災にともなう被災した無形の民俗文化調査から」へ、寺田喜朗先生と、宗教学院生の星野壮さん(博士後期課程)、魚尾和瑛(博士前期課程)、学部生の高田彩さん(哲学宗教文化コース)の総勢4名で参加しました。

 

 22日のエクスカーションでは、午前中は岩沼市を訪問し、はじめに岩沼市長より復興に向けての課題について解説を受けました。その後に市職員の説明を受けながら、仮設住宅や災害公営住宅造成予定地など、現地視察を行いました。午後は、名取市へと移動し、名取市における復興に向けての課題を復興まちづくり課の職員から説明を受けました。その後津波で大きな被害を受けた閖上地区を訪れ、仮設住宅の自治会長より仮設への移住から現在に至るまで経緯と現在抱える課題などについて説明を受けました。最後に津波で被害を受けた店舗を仮設店舗として集めた、閖上さいかい市場へと立ち寄り、その様子を見てきました。

hisaiti.jpg

名取市閖上の様子 311から2年経つ今も、瓦礫が所々に見られた

yuriage.jpg

津波によって流出した商店などが、仮設店舗にて営業を再開している、閖上さいかい市場

 23日は、午前中は全員で「社会学系4学会研究交流集会」へと参加し、午後は手分けして寺田先生と星野さんがそのまま研究集会に参加し、東北大学で行われたシンポジウムには、魚尾と高田さんが参加しました。

 研究交流集会では、午前中は大槌町における現地調査、仙台近郊における住民意識に関する調査、相馬市と南相馬市における現地調査の結果が報告されました。午後は被災地における農業の再開をめぐる問題についての報告、エクスカーションで視察した両自治体における課題についての報告、仙台市職員から見た仙台が抱える問題についての報告がありました。

 東北大学でのシンポジウムは、宮城県地域文化遺産復興プロジェクトの調査事業報告でもありました。内容は、人類学・宗教学・民俗学の各分野と行政による無形文化財の被災と復興に関するものでした。第二部では、コメンテーターとして文化庁の調査官、山元町生涯学習課課長、白山神社笛担当の3人が登壇し、調査とその報告へのコメントがなされました。

 

 エクスカーション、研究集会、シンポジウムと参加して、「「被災地」という言葉で一括りできない各地域が持つ特徴」があり、また「メディアによって作られている被災地イメージと現状の乖離」があるということが実感できました。そしてこのような問題をはらむ被災地を調査・研究することの難しさを再認識しました。こういった点をフィードバックし、今後の調査・研究へと繋げていきたいと考えております。

(文責:魚尾和瑛)

 

(この記事は、大正大学宗教学会のホームページの内容を掲載しております)

大正大学宗教学会HP http://www.taisho-shukyogakkai.net/

GO TOP