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宗教学専攻

【震災と宗教】いわき調査報告②

高瀬顕功記(BSR研究員)

 

 私たちの班では8月20日~22日、浄土宗福島教区浜通り組青年会(以下、浜通り浄青)、および浄土宗災害復興福島事務所(以下、福島事務所)を訪れ、震災後の取り組みをうかがいました。現在浜通り浄青は仮設住宅訪問カフェ「浜○かふぇ」を毎週水曜日実施。浄土宗では震災後、災害復興局を東京設置し被災地の寺院被災情報の収集を行うとともに、被災3県(岩手、宮城、福島)に現地事務所を開設し、現地復興活動の支援を行っています。今回の聞き取り調査では、被災地での支援活動が、震災直後からどのように変化したのかを中心にお話を聞いてきました。

 

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災害復興福島事務所が置かれている光林寺(いわき市平)

 

 浜通り浄青は、福島県東部に所在する浄土宗寺院僧侶によって構成される青年会で、浄土宗の寺院が数多くあるいわき市を中心に活動しています。浜通り浄青に所属する有志僧侶は震災直後より避難所での炊き出し活動や、地元の社会福祉協議会を通じた瓦礫撤去などを積極的に行ってきました。しかし、震災後数ヵ月が経過し、いわき市内各所に設けられた避難所が閉鎖され、多くの避難者が仮設住宅へ入居していきます。そこで、仮設住宅集会所での訪問カフェを行うことにしたといいます。この活動は、地元社会福祉協議会との情報交換、曹洞宗で行われている「行茶」の活動、他地域での仮設訪問カフェの実施を参考にはじめられたといいます。現在毎週水曜日、さまざまな仮設住宅を週ごとに訪問し、お茶やコーヒー、お茶菓子などを囲んでお年寄りから子供までくつろげる場所を提供しています。また、カフェの前に写経会を行ったり、他地域の浄土宗青年会の協力で、マジシャンや落語家とともに訪問したりすることもあります。

 

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野外広場での浜○かふぇの様子(2013年7月 平山崎雇用促進住宅)

(写真:浄土宗災害復興福島事務所提供)

 

 福島には放射能汚染の問題もあります。浜通り浄青は、上記の訪問カフェ活動を通じて、子供たちから雨に濡れること、野外で遊ぶことの不安などを耳にすることが多々あったようです。そこで、原発事故の影響で屋外での活動を制限されている福島県の子供たちに放射能の心配のない地域でのさまざまな体験活動を推進しようと「ふくしまっ子Smileプロジェクト」を立ち上げました。

 

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浜○かふぇの前の写経会の様子(2013年1月 上荒川応急仮設住宅団地 第2集会所)

(写真:浄土宗災害復興福島事務所提供)

 

 2012年7月に第1回の「知恩院子どもおてつぎ奉仕団入行と琵琶湖畔キャンプ」を、同年12月に「大本山善光寺参拝・宿坊体験と長野県栂池でのスキー教室」を開催。また2013年7月にも「第3回 ふくしまっ子Smileキャンプ」(知恩院おてつぎ奉仕団、琵琶湖畔キャンプ)を開催。延べ100名以上の児童が参加し、集団宿泊体験と大自然の中での体験活動を行いました。本山への参拝は、各本山の協力があり、また災害復興福島事務所からもスタッフの派遣などのバックアップがあったようです。

 

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第3回ふくしまっ子Smileキャンプ事前説明会(2013年7月 光林寺本堂)

(写真:浄土宗災害復興福島事務所提供)

 

 このように浜通り浄青は震災後2年半以上経った今でも復興事務局、各本山の支援を受けながら積極的な活動を展開しています。今回訪問させていただいた8月は、浜通り組各寺院の施餓鬼会シーズン真っ最中ということもあり、浜○かふぇはお休みでしたが、9月からまた再開するようです。ぜひまた足を運ばせていただきたいと思います。お忙しい中、調査にご協力いただいた僧侶のみなさま、ありがとうございました。

(この記事は、大正大学宗教学会のホームページの内容を掲載しております)

大正大学宗教学会HP http://www.taisho-shukyogakkai.net/