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宗教学専攻

日本いのちの教育学会 2014 年度第1 回定期勉強会(L.E.S.)に参加しました

 5月10日(土)、本学2号館233教室で、日本いのちの教育学会 2014 年度第1 回定期勉強会が開催されました。この学会の副会長を弓山達也が務めていることあり、以前より何度も本学で定期勉強会(L.E.S.)や大会が開催されています(詳しくは学会サイト http://inochinokyouiku.wix.com/jaldeを参照)。大正大学宗教学会からは弓山と、齋藤知明が参加しました。

 今回の定期勉強会のテーマは、「子どもの防煙の現状と、禁煙支援における「動機づけ面接」の実際」でした。演者と演題は次の通りでした。

 (1) 中川常郎先生(受動喫煙から子どもを守る小児科医師の会)

「子どもの防煙 (本人の喫煙防止と受動喫煙防止)の現状」

 (2) 磯村毅先生(予防医療研究所 動機づけ面接トレーナ)

「禁煙支援における「動機づけ面接」の実際」

 1人目の中川先生は、喫煙においてどのような害があるのかと、現代における喫煙の実態はどのようなものかの2点を中心に話されました。まずは、下記の項目について説明がありました(当日配布されたレジュメより)。

 ① 喫煙は嗜好ではなく、ニコチン依存症という疾患

 ② 子どもの時にタバコを美味しいと感じると、タバコから離脱困難になる

 ③ 喫煙者の約9割以上は成人前に吸い始める

 ④ 平均喫煙開始年齢は13才

 ⑤ 高校を中退して就職していないものの喫煙率は同世代で就職している者よりも高い

 ⑥ 妊婦は、妊娠判明時に18%、妊娠中でも5%の方が吸い続けている

 その他にも印象的だったのが、煙草の煙が及ぶ距離はおよそ17mであり、「分煙」(喫煙するスペースと禁煙するスペースが分離されている状況)はほとんど意味がないこと、そして何よりもショックだったのが、煙草の煙はPM2.5(人の呼吸器系に沈着して健康に影響を及ぼす粒子状物質)であることなどでした。

 2人目の磯村先生は、動機づけ面接(Motivational Interviewing 「MI」)について、ワークショップと講義を組み合わせて説明されました。会場にはMIの経験があるファシリテーター5人がいて、初めてMIを体験する参加者はファシリテーターからの補助を受けながら、ワークショップが進んでいきました。

 最初はMIの具体的な事例(休み時間に一人でタバコを吸っている病院実習中の学生と、それを止めさせたい教員とのやりとり)を使って、どこでMI的なやり取りがあったのか、どこで状況が変わる教員の一言があったのかを考えるワークをしました。

 

レジュメの一部を抜粋.jpg

レジュメの一部を抜粋(タバコを吸う実習生Aとある教員とのやりとり)

 

 弓山は、MIでいう「スピリット(被面接者の感情や価値観が表れている箇所)」にあたる箇所に線を引きましたが、MIではまず会話の「スキル(どのように面接者が切り返しているか)」にあたるところを注目しなければならないという点をファシリテーターから指摘されました。

 齋藤も初めてMIを体験したため、最初はどの時点がポイントとなったのか全く分かりませんでしたが、ファシリテーターから、この学生は1人でこっそり吸っているけれども、煙草を止めたいとも思っていると教えてもらい、ようやく正解にたどり着くことができました。このように、被面接者の矛盾する感情や本来ならばこうありたいのにと思う価値観を見つけることがMIでは重要とのことでした(ちなみに、齋藤のファシリテーターは、本学大学院臨床心理学専攻の院生で、スクールカウンセラーをしている石田日富美さんでした)。 

 MIは、被面接者を説得したり指示したりするもの(それを「正したい反射」と呼びます)ではなく、対話のなかで被面接者の「両価性」(矛盾する思い)を汲み取った上で、相手の言い分に共感しながら、相手にとって良い方向に導く(相手に気付いてもらう)作業であるとのことでした。また、相手の価値や感情に触れつつ自律性をサポートする手法でもあるようです。そして、この方法は、医療や臨床心理だけの分野だけにとどまらないということが示唆され、磯村先生の講義が終了しました。

 今回の定期勉強会に参加し、たしかにMIは、教育や宗教などの分野でも通用すると感じました。教育であれば、勉強をしなければならないとわかりつつも勉強が苦手な学生にどのようにして勉強をする方向に導くか。宗教であれば、チャプレンやビハーラ僧のように臨床の現場にいる宗教者が、どのようにして患者の「長く生きたい。けど、平生に見送られたい」という矛盾する思いを汲み取ることができるかなど、様々な分野で応用が可能と思いました。MIは、特殊な技術が必要ですが、トレーニング法が明確になっていることもあり、改めて勉強してみたいと思いました。

 

(文責・弓山達也&齋藤知明)

 

 (この記事は、大正大学宗教学会のホームページの内容を掲載しております)

大正大学宗教学会HP http://www.taisho-shukyogakkai.net/