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宗教学専攻

震災から5回目の夏 いわき市調査レポート②

 前回は、いわき市内のキリスト教会の活動をお伝えしました。今回は、19日に訪問した仏教寺院や復興商店街などについて報告します。

 最初に浄土宗菩提院(袋中寺)で霜村真康先生より「未来会議inいわき」についてお話をうかがいました。「未来会議inいわき」は、HPによると、2013年1月に結成され、誰もがくつろぎながら参加できるワークショップ形式の対話の場を運営しています。ここには、いわき市民に限らず、市外や県外の方、支援者、高校生など、地域や年代を超えてさまざまな立場の人が集まって活動を行っています。また、菩提院でも、3月には活動の一環として311映画祭を開催するなどし、様々な面で市民の活動に関わっている様子をうかがうことができました。

 次に、今年の6月に東日本大震災の追悼碑を設置した塩屋崎しらた斎場へと向かいました。斎場の駐車場に設置された追悼碑をみて、今後、追悼碑が更に建立されていくのか、その動向を更に追う必要性を感じました。

※いわき市における震災モニュメント調査については、『宗教学年報』第30輯に掲載されている、小林惇道・君島彩子・弓山達也「いわき市における震災モニュメントの現在と今後」で、詳細な報告をおこなっています。

 

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   このしらた斎場から歩いてすぐのところに、ふるさと豊間復興協議会と豊間復興商店街「とよマルシェ」があります。豊間地区では、津波によってほぼすべての建物が全壊、流出し、85名が亡くなりました。津波で流された商店の中で、豊間で再開しようと集まった人達によって運営されているのが、「とよマルシェ」です。八百屋だと思い入ったお店では、震災以前まで100年近く豊間で牛乳屋を営んでいたという店主からお話をお伺いすることができました。店主のお話からはいつか必ず豊間でまた牛乳を売りたいという強い意志と、これまで扱わなかった野菜を販売することに対する戸惑いを感じることができました。

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 また、ちょうど復興協議会ではいわき市の高校生と兵庫県芦屋市の高校生とのミニ交流会が行われるとのことで、急遽見学させていただきました。復興協議会の方々が震災前後の豊間地区の写真などを見せ、今後の復興のビジョンを説明していました。

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 最後に小名浜にある真言宗智山派浄光院、久野真琴住職に、小名浜の復興計画についてお話をうかがいました。久野住職は、震災直後寺院にて炊き出しなどを行い、現在も小名浜のまちづくり会議の会場として本堂を提供しているとのことでした。

 震災から5回目の夏が訪れていますが、まだまだ復興は始まったばかりであるという印象を持ちました。しかし、被災地では地域の中でどのように復興していくのか、その青写真を行政だけでなく市民自らの手で描いていこうとしています。その青写真に、宗教者や宗教がどのように関わっていくのか、個別の事例をもとに今後も追跡していきたいと思います。

(文責・魚尾和瑛)