学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

宗教学専攻

岡山県の宗教施設研修旅行に行きました②


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回目となる今回は、28日に訪れた福田海と吉備津神社について報告します。

 黒住教の後、私たちは福田海の鼻ぐり塚を訪れました。福田海は、明治33(1900)に中山通幽師(18631936)によって開創された仏教系の宗教団体です。境内には、比叡山から拝受した「不滅の法灯」を奉祀する「灯明堂」、中心堂である「中堂」、牛の鼻ぐり(鼻輪)を供養する「鼻ぐり塚」など多くの建造物があります。

 鼻ぐり塚とは、中山師が一生を人間のために尽くした牛の大恩に報いるため、鼻ぐりを集めて浄祭することを発願したものです。すでに700万個以上の鼻ぐりがおさめられているとのことでした。また今でも春と秋には全国から鼻ぐりが届いているそうです。

 鼻ぐりは円墳の丘上に積まれており、石室内には真鍮の鼻輪から作られた南無阿弥陀仏が刻印された金属板が納められています。また正面には馬頭観音が祀られていました。私たちは護摩木に願いごとを書き、それを鼻ぐり塚の前にお供えしました。山積みの鼻ぐりを見ていると「これだけのいのちを頂いているのか」と神妙な気持ちになりました。

鼻ぐり塚1


鼻ぐり塚正面

鼻ぐり塚2

鼻ぐり塚背面

 

 

 次に吉備津神社を訪れました。吉備津神社は、中国地方では出雲大社とならぶ神社で、『桃太郎』の昔話のモデルになったと言われる『鬼退治神話』が伝わっています。また吉備津神社は、釜の鳴る音で吉凶を占う鳴釜神事が有名です。

吉備津神社

廻廊

 

 鳴釜神事は祈願内容が叶えられるかどうかを釜の鳴る音で占う神事で、室町後期には都でも有名な神事だったとされています。

 神事が行われる御釜殿では、常に釜で湯を沸かしており、その上にあるセイロからは湯気があがっています。神事では祈願した神札を竈の前に祀り、神官が祝詞を奏上し、阿曽女がセイロ内の玄米を振ります。すると汽笛のような音が鳴り響き、この音の大小長短により吉凶禍福を判断します。ただしその答えについては各々が自分の心で判断しなければなりません。

 またこの神事は、「宗教思想史特論」で学んだ金光教の教祖金光大神が、開教する以前に受けたものでもあり、その際は音が2回鳴ったといいます。そこで私たちも金光教本部を訪問する前に、研究の成就を祈願して鳴釜神事を受けました。その時説明してくださった方によれば、「聞こえた音を心地よいと思ったか、心地よくないと思ったか」ということそのものが答えなのだそうです。

 今回の研修旅行を通して私は、座学では学ぶことのできない、信仰の現場の空気を肌で感じることができました。鼻ぐり塚では、これだけのいのちを殺して食べているという事実を感じるとともに、畜産業に従事する方々がどのような思いでここに鼻ぐりを送っているのだろうかと考えさせられました。また鳴釜神事では、文章だけでは感じられない厳かな空気や竈の熱気を感じながら、どんな風に金光大神がこの神事を受けたのだろうかと考えました。どちらもとても貴重な経験となりました。


 最終回となる次回は、金光教について報告します。


(文責:水島淳)