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宗教学専攻

【宗教学専攻】大正大学宗教学会2017年度秋期大会が開催されました


 2018年2
23日(金)、本学にて大正大学宗教学会2017年度秋期大会が開催されました。
今大会では、以下の発表が行われました。

第一報告
「植芝盛平における神観念」 下垣 良太 さん (大正大学大学院修士課程)

第二報告
「神話学の現在」 平藤 喜久子 先生 (國學院大學)


 下垣さんは、ご自身の修士論文をもとに、植芝盛平(1883-1969)における神観念について発表を行いました。植芝は、合気道の開祖として知られていますが、大本の出口王仁三郎の近侍でもあり、王仁三郎の影響を大きく受けました。一方、植芝と王仁三郎の神観念における相違点、とりわけ植芝独自の思想については、これまで十分な検討がなされていませんでした。この点を指摘した下垣さんは、ライフヒストリーや言行録、著作をもとに両者の比較分析を行いました。
 検討の結果、植芝は王仁三郎の思想を多く取り入れており、両者には類似点が多い一方、「ナギノミコト」「ナミノミコト」「天之叢雲クキサムハラ竜王」といった植芝独自の神観念があることが明らかとなりました。
 フロアからは、同時代における思想および社会状況や、合気道における植芝の影響など様々な質疑が寄せられました。


発表を行う下垣さん


 続いて平藤先生からは、神話学の現在についてご発表いただきました。本発表では、まず、神話についての研究がどう行われてきたのかを振り返り、その上で、現在の神話学がどのような問題と向き合っているのか、どのような文脈の中に置かれているのかが明らかにされました。
 そして最後には、ポップカルチャーにおける神話を学問でどう扱えばいいのか、どういう視点があるのかということが検討され、今後の研究の可能性が示唆されました。その中で平藤先生は、ポップカルチャーの中の神話における、神々と人間の距離の近さ、神々の同時代的な描かれ方に着目し、一見「新しい」と思われるこれらの表現は、実は近世に既に同じようなことが行われていたことを指摘し、ポップカルチャーとしての神話の歴史的な広がりを提示しました。
 発表後の質疑応答は、先生方や院生、そして学部生を交えた活発なものとなり、様々な観点から議論が展開されました。


平藤先生ご発表の様子

 平藤先生は、今年度より本学の非常勤講師として、大学院の授業を担当されます。北欧神話について修士論文をまとめようとしている筆者(塚越)にとって、本授業は絶好の学びの機会であり、講義が始まるのがとても楽しみです。



会場の様子

 その後は懇親会が行われ、発表者の平藤先生と下垣さんを中心に、本学院生やOBの方々、先生方が出席しました。発表に関する議論の続きなど様々な話題が出され、盛会のうちに大会は終了いたしました。

 大正大学宗教学会では年に2回、このような研究発表を行う機会を設けています。どのような研究が行われているかを学べる場なので、興味・関心のある方は是非ご参加ください。

 

(文責:渡邉龍彦・塚越明香)

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