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宗教学専攻

【宗教学専攻】2019年度提出の博士論文・修士論文の紹介①


 本研究室では、2019(令和元)年度、博士課程の小林惇道さんが博士論文を、修士課程の小泉壽さん、中塚豊さんの2名が修士論文を提出しました。

各論文のタイトルおよび概要は以下のとおりです。


●小林惇道 「近代日本における戦争と仏教教団―日清・日露戦争期を中心に―」
 本論文は、近代日本の戦争に対して仏教教団がどのような対応をみせたか、具体的には、日清・日露の両戦争期に、真言宗と浄土宗が行った施策について、教団中枢部だけではなく地方組織や寺院の動きも視野に入れて研究したものです。国家と仏教教団との制度的な関わりが変化してゆく時代下において、国家・社会における一つの役割として、仏教教団が戦争とどう対峙していったかについて明らかにし、その上で明治期の2回の対外戦争が、近代の仏教教団のあり方にどのような影響を与えたか検討を行いました。


●小泉 壽 「近世の霊験記研究―秩父三十四札所霊験記を中心に―」
 本論文は、『今昔物語集』と秩父観音札所の「霊験記」との比較を通じて、近世の観音信仰における霊験利益の特徴を考察したものです。観音菩薩は、仏教伝来以降もっとも多くの人々の篤信を集めた対象であり、秩父は、江戸時代に大いに隆盛した観音札所です。検討により、近世特有の現世利益と来世利益の性格が明らかになりました。また、これに加えて女性に対する利益に特徴が見られることを見いだしました。


●中塚 豊 「海防僧月性の研究―戦前期における表象をめぐって―」
 本論文は、幕末期の本願寺派勤王僧である月性が、死後どのように取り上げられ、どのような人物像が形成されていったのか、という表象の構築過程を探求した研究です。明治初年から昭和戦中期までを検討の対象とし、各時代に発刊された月性に関する雑誌記事や書籍・教科書などの刊行物から、海防僧月性という表象が形成される過程を明らかにしました。


各年度の提出論文のタイトルは、研究室ホームページでも紹介しています。ぜひご覧下さい。(リンクはこちら


 本来であれば、3月16日(月)に学位授与式、研究室での送別会が行われる予定でしたが、今般の新型コロナウイルスの感染拡大により中止となってしまいました。これまでお世話になってきた先輩・後輩の皆さんを一緒に送り出すことができず、とても残念ですが、この場をお借りして、論文提出および学位取得された皆様にお祝い申し上げます。

次回は、小泉さんに修士論文を書かれた感想をまとめていただきましたので、ご紹介します。


                        (文責:小林惇道・小泉壽・中塚豊、大場あや)