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宗教学専攻

【宗教学専攻】第23回IAHR世界会議に参加しました






2025年8月24日~30日、ポーランド・クラクフKrakówのヤギェウォ大学Jagiellonian Universityにて第23回IAHR世界会議(国際宗教学宗教史学会)が開催されました。

IAHR(International Association for the History of Religions)は、宗教史学・宗教社会学・宗教人類学等、宗教を対象とする社会科学・人文科学分野における世界最大の学術会議で、5年に1度、世界会議(学術大会)が開催されます。

コロナ禍によって2020年のニュージーランド・オタゴ大会は中止を余儀なくされたため、今年は10年ぶりの大会開催になりました。1364年に設立されたヤギェウォ大学は、コペルニクスやB.マリノフスキー、ヨハネ・パウロ2世等、様々な著名人を輩出したポーランド最古の名門大学です。今大会には約1,300人もの宗教研究者が集い、1週間の会期中、午前1つ・午後2つ・夜1つの時間帯でプログラム62頁分の発表が行われました。

本学からは、寺田喜朗教授と研究室OGの大場あやが参加し、発表を行いました(研究室OBで天理大学教授の岡田正彦先生は事情により渡航できず、録画ビデオにて発表をなされ、オンラインで質疑応答に応じられました)。





寺田先生と大場が登壇したのは、パネル“Rethinking Secularization: Insights from the Japanese Context”(日本の文脈から世俗化を再検討する)です。

まず、パネル代表者の大場が趣旨説明と発表者の紹介を行い、その後、明治大学非常勤講師の田中浩喜さんが、“Theories of Secularization Revisited: Prolegomena to a Global History of the Sociology of Religion”と題したプレゼンを行いました。田中発表は、世俗化論の歴史を俯瞰し、グローバルヒストリーの視座を参照しつつ日本人研究者の視点から世俗化論を問い直す意義を説きました。

これに続いて寺田先生が、“Secularization Theory and the Religious Booms in Japan”と題した発表を行いました。近代化とともに宗教の影響力が低下する(衰退する)という世俗化論の基本命題は、100万人超の信者を集める新宗教運動が断続的に発生・台頭した日本近代史とどのように整合するのか問いました。

上越教育大学教授の小島伸之先生は、“The Triad in Modern Japan: State, Religion and Secularity”と題した発表を行い、世俗化の原義は、教会財産が世俗国家に移管されることだが、日本の政教関係を検討すると、近世以降、寺社の財産は跛行的に世俗国家に管理管轄(没収・寄進)されており、単線的で不可逆的な理解はできないことを示しました。

最後に“Multiple Secularizations: Changes in Death Rituals and Practices in Japan”と題した大場発表では、これまでの日本研究者による世俗化論のローカリゼーションの努力を紹介した後、葬送儀礼を指標として世俗化論を再検討し、複数の近代化≒複数の世俗化を描き出すアイデアを提出しました。

その後の質疑応答では活発な議論が交わされ、大盛況のうちにパネルを終えることができました。

今大会の概要やプログラムは、以下よりご覧ください。

https://iahr2025.org/

(文責・大場あや)

 

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