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「学び」と「実践」を通じた人材育成

仏教学コース

夏期仏教研修道場(比叡山居士林道場)の報告 その2

仏教学科 勝野隆広

 比叡山居士林道場での研修では、坐禅などの修行だけが修行ではないと教えられます。
その一つが「食事」です。一日三回の食事もすべてが修行の一貫として取り組まなければなりません。
 食事は精進料理です。朝食はお粥に味噌汁に梅干。昼食は炊き込みご飯に吸い物に小鉢。夕食は揚げ物やゴマ豆腐など小鉢が並びますが、どの食事にも必ずタクワン2切が付くのがミソです。

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 一人前ずつ並んだテーブルの前に正座し、全員で食事作法のお経を唱えてから食事を始めます。食事中、一切の物音を立てることが禁じられます。会話はもちろん、おわんを置く音、漬物をかむ音、味噌汁をすする音、普通に食事していれば自然と出てしまう物音も注意されるのです。食器の上げ下げから口に入れた食べ物を噛んで飲み込むまで、全ての動作に細心の注意を払わなければならず、大変な思いをしますが、逆に普段、どれだけ音を立てながら食事をしていたか、気付かされるのです。
また当然、好き嫌いなく出された食事は残さずに食べなければなりません。そのために食事の最後に行うのが「洗鉢」です。お茶を器に注ぎ分け、2切れのタクワンを使って器に残ったわずかな食べ物もきれいに洗い、洗い終わったお茶はまた一つに集めて飲み干します。洗鉢は、米一粒、汁一滴まで全てのいのちをいただき尽くすとともに、器を洗う手間や資源の無駄を省くための作法なのです。
最初は戸惑い、注意されていた研修生も徐々に食事作法に慣れていき、最後には無音のまま、全てをしっかりと身体に収めることが出来るようになります。質素だけれども美味しい精進料理で、心身が豊かとなり研修を進めることができました。

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