学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

日本文学科

【新設科目授業紹介】日本文学踏査

大正大学文学部の日本文学科では、2021年度の新入生から秋学期の上半期に「日本文学実践演習」と「日本文学踏査」の新設科目をスタートさせました。いずれも、本を読むことだけではない文学の研究に触れることを目的とする授業です。

本記事においては、前回の日本文学実践演習に続いて、梅澤亜由美先生、田中仁先生、古田正幸先生が担当の「日本文学踏査」(以下、踏査)を紹介します。踏査では、博物館・文学館や、大学周辺地域の探訪を通じて、実際に目で見たことから考えたり、追加で調べたりすることを目的とする授業です。

今年度は、コロナ禍の影響もあって、一部の授業計画を変更せざるを得ないところもありましたが、緊急事態宣言中には日本文学科が人文学科と共同で制作した『源氏物語』に基づく創作布袋戲『源氏物語―浮舟―』の本編や、アダプテーションの解説を動画で視聴する試みを行いました。また、課外活動の許可が下りた際には、大正大学の近隣にあたる巣鴨地域や田端地域の探索、および田端文士村記念館の見学などを行うことができました。

こうした見学に基づいて、学生の皆さんは追加の調査を行い、他の学生へのプレゼンテーションの練習もオンライン上で行いました。厳しい社会情勢の中ではありましたが、一人の感染者も出すことなく授業を終えられたことで、学生の皆さんの協力にも感謝しています。


以下は、実地に探索を行った際の写真と、ウェブ上で観劇した創作布袋戲の様子です。

いずれも田端地域を探索した時の様子です。田端の街中には、たくさんの文豪や文化人の旧邸跡があります。素通りしてしまえば住宅地ですので、踏査の授業実施にあたっても周囲への配慮を忘れないようにしましたが、その歴史的な意義を知ることで田端という場と文学とが結びついてくるのです。
創作布袋戲『源氏物語―浮舟―』の様子です。布袋戲人形劇については、過去にも学生を対象にイベントを行っていましたので、良ければそちらの記事もご覧ください。
 
受講した学生の皆さんに、とくに興味や関心を抱いた点と、日本文学や日本語学について、実際に自分で足を運んだり、自分の目で見たりした上で考える意義について自分で考えた点を聞いてみたので、いくつか紹介します(一部、要約しています)。

〔巣鴨地域への実地踏査〕
・大学の近辺にある歴史的な建造物などを実際に見ることが出来た。足を運ぶことによって、体感的に学ぶことが出来る。また、自分の目で実際に見ると記憶にも残りやすいと思う。
・これからあと3年半過ごしていく地域について詳しく知っていけた。作品や言語単体だけでなく、その作品や方言などの背景や歴史から身をもって学ぶことができる。

〔田端地域への実地踏査〕
・実地踏査ならではの、他の資料にはあまり記載されていないものを見ることが出来て、そこからいろいろな分野に発想を飛ばすことが出来る。特に、視覚的要素・聴覚的要素が強いと思うので、そういったところから学べる点が大きいと思う。
・文豪たちが歩いたり、生きていた所縁の地を見て回って、想像が膨らんだ。少なからず変わらないものはあると思うので、そこに気づき、理解を深めることが出来る。

〔田端文士村記念館の見学〕
・地域に密接した文化人の生活や友人関係を知ることができ、文豪をより身近に感じられた。実際に赴くことで文章や歴史について、より理解が深められる。
・元々近代文学が好きで、さらに芥川龍之介は深く調べようとしていたのでとても興味深かったです。実際に足を運ぶと、このときあの人はこう感じたのだろうか……などと言った疑問が出てくるし、インスピレーションの場に足を運ぶのはその人本人に近づけると思う。

〔『源氏物語』の人形劇と、その解説動画の視聴〕
・人形劇と言われるとストーリーに注目しがちになるが、音楽など様々な要素が絡んでいることを知ることができて、興味深かった。日本文学について、文学作品のみならず、当時の文化なども知ることでより考察が深まった。
・以前から『源氏物語』に興味を持っていたのですが、浮舟については詳しく知りませんでした。自分で「出家」というテーマを決めることで、『源氏物語』の内容に重要なものだったのかという新たな発見があったので、特に興味や関心を抱くことができました。

1年生の皆さんが、実地に足を運んだり、自分で観察したりすることの意義を様々に汲み取ってくれたことを非常に頼もしく思いました。

日本は木造建築物が多く、災害なども少なくないため、諸外国と同じように旧時代の遺跡などが多量に残っているわけではありません。代わりに残っているものが、人々のことばや表現であり、そのことばを伝える文学作品です。日本文学科としては、学生の皆さんが、日本文学を学ぶ切り口を勉強すると共に、そのことを地域社会に還元する視野を今後も養っていくきっかけとしてもらえたらと考えています。

大正大学文学部 日本文学科
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