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国文学専攻

国文学専攻在学生・修了生インタビュー 5号(後編)

大正大学大学院文学研究科国文学専攻の在学生・修了生のインタビューの第5号(後編)をお届けします(→前編はこちら)。引き続き、岩谷さんのお話をうかがいます。


Q.ご自身のご研究の内容や、その内容を選んだきっかけを教えてください。
博士論文のテーマは「森鴎外と仏教のかかわり」でした。修士課程では卒業論文をさらに発展させるかたちで「普請中」における鴎外の社会批判意識を研究したのですが、その際に明治政府による宗教政策について調査を行いました。特に仏教を中心に政策が行われた一方で、鴎外の旧蔵書には数多くの仏教関係の資料が残されていたため、鴎外が仏教とどのようにかかわったのかを研究してみたいと思いました。

Q.ご自身の研究に取り組む面白さ、楽しさを教えてください。
基本的にどのような作品を扱う時にも、作品が発表された時代の新聞や雑誌、書籍などを調査し、可能な限り当時の資料から作品が書かれた時代背景を知ろうと努めています。ですので、国会図書館や鴎外の旧蔵書に収められた当時の資料を実際に手に取りながら、想像もしなかったような事実を知ることが出来た時というのが1番楽しいです。もちろん、当時の資料をもとに自らが立てた仮説通りの資料が出てきたという時も楽しいのですが、想像の及ばなかったような事実を発見し、作品の解釈が自分の中で新たに広がるような時には嬉しくて全く眠れなかったりします。

Q.大学院に入る前と入った後で出来るようになったことや変わったことはありますか?
学部時代の指導教授が退職するにともない、大学院では新たな指導教授にご指導いただきながら修士論文・博士論文を執筆しました。先生のご専門が戦後文学ということもあり、鴎外や周辺の作家以降の作品についても数多く学び、近代文学を研究するうえでの知識が大幅に広がりました。私は同じ作品を何度も繰り返し読むというタイプなのですが、先生のお陰で読んだ作品数は飛躍的に増えました。
また大学院では、指導教授以外の近現代文学の先生方や古典文学の先生方、日本語学の先生方のご研究を間近で学ぶことができました。そのため私の研究は教わったすべての先生方のご研究から、少なからず影響を受けています。それくらい先生方との距離が近いのが、大学院の良いところの1つだと思います。

Q.大学院生のうちに取り組んでみたり挑戦してみたりして、良かったことはありますか?
学会発表や、学会誌への論文投稿を積極的に行うように心がけました。博士課程に進学する際に、学科の先生に「この世界は勝ち負けの世界」だとアドバイスをいただきました。修士課程ではのびのびと研究ができる事の喜びに浸っていましたが、博士になるからには積極的に外へ出て、アスリートのように大会を目標として、他の研究者の方々と競いながら研鑽を積もうと考えを改めました。
ただ、私が唯一見るスポーツがプロレスだったため、どうしても勝ち負けのイメージが体力を全て使い切るようなものしか想像できませんでした。そのため、学会発表も直前まで徹夜で準備をし、論文投稿も本局まで持って行って当日中に届けてもらえる新特急郵便で提出しなければ、余力を残したようで気持ち悪いと感じていました。
それで成功したこともあれば失敗したこともあります。しかしこれまでの人生を振り返り、失敗した経験を持つことができるということは、大きな財産だと考えていたため、失敗が許される学生の身分のうちに、できる限りの経験を積もうと思いました。そのお陰で研究の幅も大きく広がり、多くの研究者の方々と出会うことができました。ただ今後はフィギアスケートのような大会をイメージして頑張りたいと思っています。

Q.大学院で学んだことは、ご自身の今のお仕事でどのように活かされていますか? あるいは、今後の夢などはありますか?
学部生や院生と同じように少し前まで実際に私も先生方に教わる立場でしたし、現在も先生方のような研究者になるために助手の仕事をしながら、先生方の仕事を間近で学ばせていただいています。そのため、学生の目線により近づいて、先生と学生との間を繋ぐことができているのではないかと自分では考えています。
今後の夢は、私が講義を受けて嫌いだった鴎外の作品を面白いと思うようになったことにも重なりますが、昔見ていた「美の巨人たち」(現在は「新美の巨人たち」となり雰囲気がかなり変わりました)というテレビ番組のように、作家や作品について学生に面白いと思ってもらえるような話がしたいということです。
その番組は30分で画家による作品を1つ解説するものだったのですが、様々な角度から作品のテーマを照射し、画家が作品に込めた想いを浮かび上がらせようとするものでした。
これまで何も感じなかった作品でも、細部に注目したり、作品の背景を考えるようになったりと、その番組を見る前と後では、見え方が全く違うことが幾度とありました。学部卒業後に額縁専門店で働いたのも、絵画と接する仕事がしたいと考えたからでした(実際に仕事として、この番組で撮影するための作品の額縁を私が交換させていただきました。それが大きな達成感のように感じられ、大学院で研究をしようと決意する理由の1つとなりました)。
また大学院での研究発表会でうまく口頭で説明できない事があった際に、「研究者の仕事の半分は誰かに向かって話をすること」だと教えてくださった先生がいらっしゃいました。その時から口頭で伝えることの重要さを意識するようになりました。
学生にとって全く興味のない作家や作品であっても、話を聞く前と後では作品が全く違って見えるというような授業ができるように頑張りたいです。

Q.これから大正大学の国文学専攻に入学を考えている後輩に向けてメッセージがあれば教えてください。
勉強する時間を持てるということは幸せなことだと思います。それを学部生の時に気づければ1番良かったですが、私は卒業してから気がつきました。卒業後の人生は様々にあると思いますが、私は改めて大学院に入り、研究に打ち込むことができて本当に幸せだったと思っています。大学院でどのように過ごすかということはもちろん人それぞれですが、修了して1年が経ったいまも、私はそのように思っています。
もしも大学院のことで何か質問などありましたら、ぜひいつもでも声をかけてください。どうぞよろしくお願いします。


研究にかける情熱に心打たれると共に、プロレスのような体力勝負の研究のイメージを楽しくうかがいました。どうぞこれからもご体調に気を付けて、研究と教育に取り組まれてください。日本文学科の学生の皆さんは、せっかくこうして大学の中で活躍されている先輩がいらっしゃるわけですから、ぜひお言葉に甘えてお話をうかがってみると良いと思います。岩谷さん、どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いします!

大正大学大学院文学研究科国文学専攻では、大学院生やその修了生に今後もインタビューを行いたいと考えています。日本文学科の学生の皆さんは、ぜひ学科事務室や教員までご意見やご感想をお寄せください。

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