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震災から5回目の夏 いわき市調査レポート①

 7月18日から20日にかけて、大正大学宗教学会「震災と宗教」研究会はいわき市調査を実施しました。本研究会では、4年前の震災の直後から継続していわき市を訪問し、いわき市を中心に福島県浜通り地方の宗教者・宗教団体の支援活動に対する聞き取り調査、および震災モニュメントの実態調査をおこなってきました。

 今回の調査では、18日から19日は本学専任講師の齋藤知明と本学院生の福井敬が、19日から20日は本学教授の弓山達也と本学院生の魚尾和瑛が、いわき市内各地を回りました。今回から複数回にわたって、 震災から5回目の夏を迎えるいわき市の様子をお伝えいたします。

 なお本調査は、科学研究費基盤研究(C)「東日本大震災後の地域コミュニティの再編と宗教の公益性に関する調査研究」(代表:弓山達也)による研究の一端です。


 

 18日は2つのキリスト教会を訪問しました。最初は泉グレイスチャペル(いわきキリスト教会)に行き、牧師の増井恵先生にお話をうかがいました。泉グレイスチャペルを訪問するのは今回が初めてです。

 増井先生は、震災直後から教会の近くに設営された泉玉露仮設住宅の支援活動をおこなっています。そこの仮設住宅には、原発事故によって避難生活を強いられた富岡町の方々が住んでいます。

 増井先生の支援活動は、「小名浜聖テモテ支援センター」と協働しての「ほっこりカフェ」の運営が中心とのことでした。「ほっこりカフェ」は仮設住宅の集会所で週に2度開催されていますが、毎回50~60人ほどが集まるそうです。ただしこの場は決して布教や伝道をすることはなく、住民間で情報共有や安否確認をおこなう機会を設けているだけとの意識を常に持っているとのことでした。

 増井先生の話はとても刺激的で、当初予定していた1時間を大幅に超えてのインタビュー調査となりました。

 

泉グレイスチャペル.JPG

泉駅の近くにある泉グレイスチャペル

 

 次に訪問したのは、グローバルミッションセンターです。グローバルミッションセンターは、本研究会が震災直後からお世話になっている教会で、本ブログでも幾度も登場しています。

 グローバルミッションセンターでは、牧師の森章先生にお話をうかがいました。2012年から立ち上げて3年を迎えるNPO法人「グローバルミッションジャパン」に関する支援活動のお話が中心でした。

 グローバルミッションジャパンは、福島県「ふるさと・きずな維持・再生支援事業」に2013年度から採択されており、仮設住宅でのコミュニティづくり、国内外のボランティアコーディネート、農業支援・住宅清掃などをおこなうフィールドワークなどを展開しているとのことでした。

 森先生にはいわきを訪問するたびにいつもお話をうかがっていますが、地道に一歩ずつ復興に向けて支援活動を継続していくという信念は、出会った当初よりまったく変わっていないと感じました。

 

グローバルミッションセンター.jpg

グローバルミッションセンターを駐車場側から

 

 オリンピック開催にともなう建設関連人材の都市流出・資材の高騰、メディアによる報道の減少にともなう記憶の風化・ボランティアの減少などで、支援活動の規模が年々縮小していくことは避けられないと2人の牧師は言っていました。ただ、震災から5回目の夏となり、目に見えて町が新しくなっていったとしても、避難している方々は心の奥底ではまだまだ安心を得ることができていないのが現状だそうです。

  そのようななかで、地元宗教者に対する周囲からの期待は日増しに強くなっているのではないでしょうか。この疑問に対して、今後さまざまな角度で検証していきたいと思います。

(文責・齋藤知明)