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宗教学専攻

日本宗教学会第74回学術大会に参加しました


 9月4日から6日まで、創価大学にて日本宗教学会第74回学術大会が開催されました。本学研究室からは発表者の諸先生・先輩方のほか、院生ら含め計17名が参加しました。

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 大会初日は「宗教の未来 宗教学の未来」というテーマでシンポジウムが開催されました。21世紀に入り現代世界や宗教も大きく変容していく中で、宗教にはこの先どのような未来が待っているのか、また宗教研究はどのように対応すべきかについて議論が交わされました。

 パネリストとして、米国・ジョージタウン大学のホセ・カサノヴァ(José V. Casanova)先生、英国・ウォーリック大学のジェイムズ・ベックフォード(James A. Beckford)先生が登壇され、それぞれ「グローバルな世俗化とグローバルな宗教諸派の共生、絡み合う二つの道」、「グローバル化時代における宗教と宗教研究の社会学的パースペクティブ」という題で講演されました。コメンテータは上智大学の伊達聖伸先生、北海道大学の櫻井義秀先生、司会は創価大学の中野毅先生が務められました。

 

 大会2日目、3日目には各個人発表とパネルディスカッションが行われました。本学研究室からは、以下8名の諸先生・先輩方が発表されました。

・星川啓慈先生が発題者を務めたパネル発表「戦場のウィトゲンシュタイン―神への祈り―」

・寺田喜朗先生が発題者、弓山達也先生がコメンテータを務めたパネル発表「新宗教論の再検討―後期近代社会における展開を踏まえて―」

・村上興匡先生「沖縄墓地行政の転換と地域的偏差の拡大」

・小川有閑先生「信仰者の語る被災地の霊的体験―東京近辺の仏教者の事例から―」

・高瀬顕功先生「ホームレス支援と宗教者―信仰は社会活動の支えとなるか―」

・齋藤知明先生「明治20年代の教育言説と『宗教的情操』―能勢栄を中心に―」

・博士課程3年の魚尾和瑛先輩「保養プログラムと教団の社会活動―参加者への調査を事例に―」

・博士課程2年の小林惇道先輩「復旧復興期の震災モニュメント―福島県いわき市の事例から―」

加えて、本研究室OBの先輩方も発表されました。

・大澤広嗣先生「旧外地法と宗教制度」

・江嶋尚俊先生「どこが宗教を管轄するのか―宗教学校をめぐる文部省と内務省―」

 

 とくに印象に残っているのは、寺田喜朗先生が発題者、弓山達也先生がコメンテータを務めたパネル発表「新宗教論の再検討―後期近代社会における展開を踏まえて―」です。本パネルでは、高度経済成長期(1960年代)以降の後期近代社会において、低成長期(教勢伸張の鈍化)に突入したといわれる日本の新宗教教団について、①これまでの研究成果と現状を確認し、②今後の研究の課題を探るという問題関心のもと、4つの発表が行われました。1980年代までの新宗教研究の最大の成果である『新宗教事典』(1990年)以降の状況を議論する興味深い内容で、70人を超える参加者が集まりました。ちょうど春学期に寺田先生のゼミで『新宗教事典』を輪読したばかりだったということもあり、学んだことがぎゅっと詰まった内容で、非常に勉強になりました。弓山先生の簡潔かつ鋭いコメントを皮切りに、フロアからも多くの質問や意見が出され、活発な議論が展開されました。

 

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パネルディスカッションの様子

 

 各発表・パネルは、「宗教学・宗教史学・宗教哲学」「民俗学・文化人類学・身体論」「科学・心理学・医療」「宗教哲学・ユダヤ教・キリスト教」「中東・アフリカの宗教」「仏教・日蓮研究」「葬送・震災・復興」「神道・日本文化」「新宗教・その他」「宗教と教育」「ジェンダー」等、テーマ別の部会に分かれて行われます。

 葬送の変容や地域社会との関わりに関心を持っている私は、当初、「葬送」の部会を中心に発表を聞こうと考えていましたが、先生・先輩方と会話する中で、「この研究はこのような点でおもしろいと思うよ」「君とテーマは違うけれど研究方法や視点が勉強になるのでは?」といったアドバイスを頂き、それをもとに様々な部会へ参加しました。自分の関心と近いテーマの発表を聞くのはもちろんですが、このように様々な分野の発表を聞くことで新たな知識や視点を得ることができ、とても勉強になります。日本宗教学会は上記のように多方面にわたるテーマで発表が行われるので、自分の視野を拡げ、刺激を受ける非常に貴重な機会だと言えます。

 

 今回の学会参加を通して、どのような問題意識を持ち、何を明らかにしたいのか、そしてどのような視点から対象へ迫るのか、自分の立場を明確に示すことの重要さを学びました。そうすることで、その研究の意義が浮かび上がってくるように思いました。今回学んだことを活かし、自身の研究を進めていきたいと思います。

 

 ちなみに、大場が参加した発表は以下の通りです。

・「新潟市の女性シャーマンとその依頼者について」

・「樹木葬申込者における自然観あるいは死生観」

・「戦後札幌市における墓地移転と『開拓の祖』顕彰」

・「近世占い本の組み立て―『三世相小鏡』の分析―」

・「日本におけるコリアン・ディアスポラと宗教」  など

(文責・大場あや)