学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

宗教学専攻

【宗教学専攻】第183回駒沢宗教学研究会に参加しました


 3月29日(木)、駒澤大学にて第183回駒沢宗教学研究会・修士論文発表会が開催されました。本学からは、2017年度に修士論文を提出された中村悟眞さんが、「ハワイ浄土宗の現代的様態―開教使の活動と寺院の生存戦略―」というタイトルにて発表を行いました。


発表を行う中村さんと司会の寺田先生

 中村さんは、ハワイにおける日系仏教が世代交代により衰退しているとの先行研究を踏まえた上で、1980年代以降の浄土宗教団に関する報告が少ないことに着目し、実際に現地で計86日間にわたる現状調査を行いました。その結果、大局的には確かに衰退トレンドにあることが確認されましたが、その一方で「教勢の分化」(危機的状況に立たされている寺院とそうではない寺院がある状況)も生じていることが明らかとなりました。
 これまでに指摘されてきた使用言語の英語化や布教方法の脱日本化といった対応に加え、会費以外の収入源(家賃やBon Danceからの収入)を確保しているかどうかが現在の寺院状況を大きく左右し、教勢の推移に影響しているのではないかと示唆しました。
 今後は経済・経営面のみならず、布教における言語や文化の問題についても継続的な調査が必要だと主張し、最後に寺院の写真やBon Danceの映像、資料なども紹介されました。 

 フロアからは、日系移民のハワイ内での移動や、島ごとの特色を踏まえた分析の必要性、寺院状況の類型化、今後の展開について質問およびコメントが寄せられました。


発表の様子


 また、本学の他にも5大学(筑波大学、神奈川大学、國學院大學、東京大学、慶應義塾大学)から発表があり、各タイトルは、
「柴又帝釈天における意味づけの変容と場所の体験」
「津波災害と屋敷神祭祀の変容 ―宮城県気仙沼市大島の事例から―」
「出口王仁三郎と昭和神聖会運動 ―帝国の時代を言向け和す―」
「フランスにおけるセクト論争 ―ライシテ研究の視点から―」
「布教としての瞑想に関する一考察 ―高野山東京別院を事例として―」
というものでした(詳しくはこちら)。


 この研究会は、年に一度、宗教に関する研究を行う首都圏の大学院関係者が集まり、各校から修士論文を提出した学生が1名ずつ発表するという主旨のものです。宗教学・宗教史学・社会学・人類学・民俗学など様々な分野を専門とする先生方・学生たちが一堂に会し、バライエティ豊かな発表に対して議論を行います。また、各発表の司会は発表者の指導教授の先生が務められます。
 発表者の多くは修士課程を修了したばかりで、学会・研究会での発表は初めてという場合が多いため、とても緊張感の漂う研究会ですが、こうした場で自身の研究成果を発表し、先生・先輩方から質問や意見を頂けることは、発表者にとってまたとない機会だと思います。

 大学院進学を考えている方、この駒沢宗教学研究会での発表を目指し、本学研究室で共に研究・論文執筆に励みませんか?

(文責:大場あや)

GO TOP