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宗教学専攻

【宗教学専攻】『カミとホトケの幕末維新―交錯する宗教世界―』の紹介

 宗教学研究室OBの大澤広嗣さん(文化庁)と博士課程の髙橋が共著者として執筆した、岩田真美・桐原健真編『カミとホトケの幕末維新―交錯する宗教世界―』(法蔵館、2018年11月刊)を紹介します。

 本書は、明治維新150年に関連した多くの研究書の中でも、思想・宗教の面から明治維新を捉え直した論文集です。
 宗教学、日本思想史、日本仏教史、日本近世史、日本近代史など、隣接領域の著名な研究者が多数執筆しており、本書を通読するだけで、近世・近代宗教史で今何がトピックになっているのか、研究史がどのように把握され乗り越えられようとしているのか、最新の知見を得られます。
 各論稿は、仏教、神道、キリスト教、民衆宗教など諸宗教のほか、廃仏毀釈や上知令など、明治政府の宗教政策に関連する論稿も収録されており、各所に配されたコラムも、それぞれ興味深い内容となっています。
 大学院で日本宗教史研究に取り組んでみたいと考えている方は、必読の文献です。

 なお、大澤さんは、コラム「明治百年と一九六八年の宗教界」、髙橋は、コラム「勤王・護法の実践――真言宗の勤王僧」、「幕末京都の政治都市化と寺院」をそれぞれ執筆しています。

 大正大学宗教学研究室は、日本宗教史を研究している院生も多く、本書をはじめとして多くの成果を発表しています。

 本書の目次は以下のとおりです。

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はじめに(桐原健真)
  コラム 明治百年と一九六八年の宗教界(大澤広嗣)

第Ⅰ部 維新とカミとホトケの語り
 神仏分離研究の視角をめぐって(上野大輔)
  コラム 孔子の変貌――儒学と明治日本(桐原健真)
 日本宗教史学における廃仏毀釈の位相(オリオン・クラウタウ)
  コラム 廃仏毀釈と文化財(碧海寿広)
 「世直し」の再考察
     ――宗教史的観点から――(三浦隆司)
  コラム 宗門檀那請合之掟(朴澤直秀)
 「民衆宗教」は誰を語るのか
     ――「民衆宗教」概念の形成と変容――(青野 誠)
  コラム 維新は迎えられずとも――烏伝神道の断絶と「民衆」(青野 誠)

第Ⅱ部 新たな視座からみた「維新」
 幕末護法論と儒学ネットワーク
     ――真宗僧月性を中心に――(岩田真美)
  コラム 勤王・護法の実践――真言宗の勤王僧(髙橋秀慧)
 排耶と攘夷
     ――幕末宗教思想における後期水戸学の位相――(桐原健真)
  コラム 京坂「切支丹」一件(松金直美)
 維新前後の日蓮宗にみる国家と法華経
     ――小川泰堂を中心に――(ジャクリーン・ストーン)
  コラム 仏教教導職の教化活動(芹口真結子)
 明治維新にみる伊勢神宮
     ――空間的変貌の過程――(ジョン・ブリーン)
  コラム 幕末京都の政治都市化と寺院(髙橋秀慧)

第Ⅲ部 カミとホトケにおける「維新」の射程
 幕末維新期のキリスト教という「困難」(星野靖二)
  コラム 幕末維新のキリスト教伝道(落合建仁)
 幕末/明治前期の仏書出版(引野亨輔)
  コラム 絶対的創造神への批判――釈雲照のキリスト教観①(舩田淳一)
 仏教天文学を学ぶ人のために
     ――佐田介石と幻の京都「梵暦学校」が意味するもの――(谷川 穣)
  コラム 天主とは何者か――釈雲照のキリスト教観②(舩田淳一)
 社寺領上知令の影響
     ――「境内」の明治維新――(林 淳)
  コラム 明治は遠くなりにけり――明治仏教史編纂所のこと(大谷栄一)

 あとがき(岩田真美)

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                                       (文責:髙橋)